□自然な関係
1ページ/3ページ

学校終了の鐘がなり、数分が過ぎた。
生徒が行き交う廊下を急ぎ足で目的地へと向かう。
通り過ぎる友達に挨拶を交わし、玄関で靴を履き替え外へと一歩踏み出す。
すると学校の入り口、校門にたたずむ人の姿が瞳に映った。
その姿をとらえた瞬間、頬の筋肉が緩み自然と笑顔になる。
そして胸を躍らせて、その人に走り寄った。

「マリアム!!」

大声で名前を呼べば、その相手マリアムがこちらへと顔を向けた。
マリアムは自分の方へと向かって走ってくるマックスの姿に一瞬、顔をほころばせる。
だが、すぐにその顔は不機嫌になりそっぽを向いてしまった。

「遅れてsorryネ」
「遅い!一体、何やってた訳」

どうやら数分とはいえ待たされた事に腹を立てている様だ。
その言葉にマックスはもう一度謝り、苦笑を浮かべた。

「本当にごめんネ」
「…私、お腹空いた」
「what?」
「何か奢ってくれるなら、別に許してあげてもいい」

今だにそっぽを向いたままのマリアムだが、よく見ると頬が赤い。
本当は怒っていない、でも性格のためか他の女子のように笑って「許す」なんて恥ずかしくていえない。
そんな自分が嫌になるがマックスはそれを気にした様子もなく笑顔でいった。

「もちろん!待たせたお詫びに何でも奢るネ!」

マックスはマリアムの手を握ると嬉しそうに走りだした。



別に付き合っているとかそんなんじゃない。
性格は正反対だけど、なんとなくお互い気が合う。
一緒にいると落ち着くというか……なんというか…
どうしてかなんて、自分でもわからない。
気がつけばいつも一緒にいて、それがあたり前になっていたから。

「ハイ、どーぞ!」
「!?」

目の前に差し出されたものに思考を中断する。
薄い黄色の生地に巻かれたホイップクリームの上には真っ赤なイチゴとイチゴソース。
甘いクリームとイチゴの香りが鼻孔に届き、わずかな空腹をあおった。
学校の傍にある公園、その中にあるクレープ屋は女子の間で美味しいと有名だ。

「あ、ありがとう」

ぎこちない手つきで差し出されたイチゴクレープを受け取る。
それを確認してからマックスは隣に腰を下ろし、自分のクレープに噛り付く。
レタスにシーチキン、それにマヨネーズが巻かれたマックスの大好きなクレープ。
一口食べるごとに幸せそうに頬を緩ませる横顔を見て、呆れの溜息をついた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ