文章置き場

□命〜SADAME〜
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幻次界王マルコネオンは、ひとり宮廷の庭を散歩していた。庭はところどころ森になっており、木々の隙間から差し込む日差しがすがすがしい。

幻次界は、長年平和そのものだった。かつて、世界のために百億年の存在にー太陽ーになったソルマルコ。そのルーツより生まれたマルコネオンは、生まれながらに平和を愛した。彼のルーツの奥底には、古代の神々の力がやどっている。決して使ってはいけない、「生命をも生み出す、祈りの力」、かれはこの存在も知っていた。

今この時代、祈りから生まれる命は極めて少なくなった。男女がいて、その間に愛情があって、そうして生まれる「自由」な命。それが今の時代に生きる者たちだ。「祈り」から生まれる命は必ず、拒むことの許されない「宿命」を背負う。

かつて、世界を築くためだけに生まれた「次界創造主」と「神帝」たち。そしてそれを邪魔するために生まれた悪魔たち。そして互いの使命のために、戦いあって消えていった」命たち。

マルコネオンは、自分のルーツの中に眠る哀しい時代の記憶を時折、夢で見、それらを自覚していた。
「私は、強く何かを願ってはいけないのだ」と。
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