文章置き場

□時の交錯
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時の交錯





「お昼何にする?」「ああ〜、やっべー!もうすぐ期末試験だよ〜」「ねぇねぇ、今度の日曜どこかいかない?」
ここは、元気な生徒たちが通う学校。今は昼休みだろうか、大勢の生徒たちでにぎわっている。

何気ない学園風景。そんな校庭の端に、恒久の時を歩み続ける一人の天使がいた。



『寂しくなったら、これをひろげてみて』

そう言って愛しい人は白いハンカチをくれた。あの人とその同志は今もこの世界を見守ってくれているのだろうか。そのハンカチは、流れる時に耐え兼ねて、いつしか朽ちて消えて行った。
そう、形あるものは、いつかすべて消え行くもの。・・・・・神の息がかかる、ほんの一部のものをのぞいては。

愛しい人から、彼らが夢を託した未来を彼女は受け取った。その直後、それはそれは見事な七色の橋が、久遠の空へ架かった。
そして歴史は動いた。

それから間もなくだった。彼女が、【時の生き証人】という新たな使命を神から授かったのは。

「あの時から、私には一切の『時間(とき)がなくなってしまいましたのよ・・・・』」
彼女は・・・・クロススターは、賑やかな校庭の端っこで、行き交う生徒たちを眺めながらつぶやいた。

世界の行く末を、永遠の先端に立ち見守ってゆく。
この命を受けてから、実際には幾千の時が流れたのかしら?
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