lichtschein‐光‐

□lichtschein《序章》
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「お前さ、闇の力を使ってオレ達に何かしてんじゃねーの?」
男が冷ややかな目で見ている


「みんな言ってるのよ。あなたがコソコソと闇の力を悪用している陰険な奴だってね」
少女は鋭く言葉を突き付ける。


「しらばっくれるんじゃないよ!私は何も知りませんて顔してさ!あんたのそういうトコがむかつくんだよ!」
捻くれた解釈をする者まで出てきた。


「あいつは周りに災いをもたらす呪いの子だ!」
町中に響き渡るくらいの大声で叫ぶ。


周りから一方的に罵られ、冷ややかな視線を浴びせられる。

そんな中での自分の言葉は誰の耳にも届かず、ただ虚しく消えていくだけだった。


悲しみ、悔しさ、怒り、疑問、そして孤独感…


なぜ、ここまで言われなければならないのだろう…





‐闇の力を持つ者の存在を封じよ‐


‐外部に出さぬよう地下に拘束して監禁し、何人たりとも人を近付けさせるな‐


‐生涯その場所へ閉じ込めておくのだ‐




「あなたのせいよ!お母様が病気で亡くなられたのも、お父様が殺されたのも、一族に悪い噂がたったのも、みんなあなたが悪いのよ!」
姉のセレーナスは憎しみを込めて言い放つ。

「ここまで育ててやっただけでもありがたく思ってほしいね」
使用人の中年の女性が軽蔑の眼差しを向ける。

「これも我らカトレリア一族のためだ。悪く思うなよ」
髭の生えた男が冷淡に言う。



嫌だ――

そんな暗い場所で一生を終えるなんて冗談じゃない!


「逃がすな!捕まえろ!」
男が叫んだ。


逃げて逃げて。


一族とその屋敷に済む人々が一斉に追ってくる。

皆、殺気立っており、自分達の生活を守ろうと躍起になって追い掛けてくる。

捕まれば最低最悪の孤独な人生を送ることになるのだ。


絶対に捕まるもんか!

なんとしてでも逃げ延びてやる!


誰も自分を知らない未知の世界まで――




――――




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