lichtschein‐光‐

□lichtschein《第一章》
2ページ/20ページ

意識が戻ってくる…。

「…ん…」
ざわざわと何かが聞こえる。
木の香りがする。

(…朝かな…?)
目をゆっくりと開けていくと木漏れ日が見えた。

(え…?外?…)
頭がぼんやりとしながら静かに体を起こす。

「ここはどこだ?」
状況が理解できず辺りを見回した。

木々が生い茂る森の中だった。

(あの時…塔の最上階で光に包まれて…そのあとは…何が…?)
今までの出来事を整理していた。

(ここは、塔の近くの森なのか?どうしてここにいるんだ?)
「!」
立ち上がろうとすると、よろめいた。

「あれ?おかしいな?」
体がうまく動かない。
力が入らないような、おかしな感じだった。

(今までの疲れがたまっていたのかな?)
感覚を取り戻そうと立ち上がる。

「ペンダントは!」
ハッとして胸元を確かめた。

透明な水色の宝石が見えた。

(よかった…。これだけは絶対なくしちゃいけない大事な物だからな)
首にかかっているペンダントが無事だったので安心した。


ーー


しばらく歩いていると広い道に出た。

「おかしいな?来た時はこんな道はなかったはず…っ…!?」
そこまで言いかけて目を見開いた。
道の先の遥か遠くには町があり、その真ん中に塔が建っていたからだ。

「あの塔は…!」
願いを叶えるために苦労して登った塔だった。

(どういうことなんだ!?あの町はなんだ!?)
急いで町に向かって走りだした。


ーー


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ