lichtschein‐光‐

□lichtschein《第一章》
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町へたどり着いた。

(こんな所に町はなかったぞ?確か塔の周りは森だった)
町の入り口で立ち尽くしていると。

入り口の両脇に、男が立っていることに気づいた。
武器を携え制服を着ているので、おそらく門番だろう。

「すみません。あの塔について知りたいので、教えてくれませんか?」
門番に尋ねてみた。

「おっ、君も塔を見にきたのか。この町の観光名所だからな」
門番は明るく返した。

「ヴィシャス国の南西地方にある塔に似ていますね」
塔に視線を向けながら口にした。

「ん?ここはヴィシャス国の南西だし、この国にある搭は、あそこに建っている塔だけだぞ」
門番は不思議そうな顔をしてこちらを見る。

「ええっ!?」
驚きのあまり声をあげてしまった。

「なんだ?どうした?…って、おいっ!」
門番が言い終わる前に、走り出した。

わけがわからない…!
知らない間に何が…?

塔に近づくにつれ、更に異変に気付く。

「あれっ!?」
塔の上に破壊された跡が見えた。

「最上階で何が起こったんだ?」
次々と疑問が浮かんでくる。


塔の近くまで来た。周りは人だかりができている。

塔が偽物なのではないかと疑い、注意深くじっと見つめた。

古ぼけた壁が何百年もの間建っていたという歴史を感じさせる。

十数年やそこらの年月しか経っていないようには到底思えない。

(間違いない!明らかにこの塔だ!)
強く確信した。

「…なのにこの町は一体…?この人の多さはなんだ…?」
不思議に思いながら塔の入り口の前に立った。
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