lichtschein‐光‐
□lichtschein《第二章》
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―14年前――
とある町の一角に大きな屋敷があった。
そこでは、特殊な魔力を持つ一族が代々住んでいる。
そこに、優れた魔力を受け継いだ、二人の小さな子供がいた。
今日も中庭では、
「ラシェルド!」
緑髪に青瞳の女の子が、長い木の椅子に一人で座っている小さな子供を呼んだ。
「ん?」
名前を呼ばれて振り返ったのは、茶髪に紅い瞳をした3歳の男の子だった。
「もうそろそろ、お家の中に入ろうよ」
ラシェルドの姉、ティゼアはまだ7歳だったがしっかりとしていた。
ラシェルドはムッとして首を横に振る。
「くらくなってきたから、もう少しで夜になっちゃうよ」
ティゼアは橙色の空を見た。
「やだ。ねむい」
ラシェルドはごろんと横になった。
「こんなところで寝たら風邪をひきますよ」
ティゼアが口を開くより先に男の声が聞こえた。
「レフィードさん」
ティゼアが男の名を呼んだ。
「こんにちは」
眼鏡をかけた若い銀髪の青年レフィードはにこりと挨拶した。
「こんにちは、きょうはお父さまもお母さまも、お出かけしてるけどゆっくりしてってね」
ティゼアがにこりと挨拶を返す。
この日は、ティゼアとラシェルドの両親は用事があって外出中で、屋敷に仕えている人、数名だけが家にいた。
レフィードはティゼアとラシェルドの叔父にあたる人で、昔からよくこの屋敷を尋ねてきている。
そのためすっかり顔馴染みになっていたのだ。