lichtschein‐光‐

□lichtschein《第二章》
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「今日はティゼアとラシェルドに見せたい物があって来たんですよ」
レフィードは袋から手のひらくらいの石を静かに取り出した。

石は濃いめの赤色で所々に黒い模様があり、どちらかと言うと不気味な感じがする。

「それなーに?」
興味を持ったラシェルドが、レフィードの近くまで寄り石を覗き込むようにして見た。

「これはね。無魔石といって、とても貴重な…」
「ラシェルドっ!」
レフィードの話の途中で、ティゼアはいきなり弟を呼んだ。
その石からの異様な魔力に嫌なものを感じたのだ。

「どうしたんですか?ティゼア」
レフィードが気にもしない様子で質問する。

「それ、なんかイヤっ!」
ティゼアは石に対する嫌悪感を口にした。

「大丈夫ですよ。さあラシェルド触ってみて下さい」
優しく言うレフィード。

言われるがままに手を伸ばすラシェルド。

「ダメ!やめて!」
ティゼアが止めようとするが、
…遅かった。

ラシェルドの手は石に触れていた。
すると突然、石が光りだした。

「えっ?」
驚いたラシェルドは石から手を放そうとした…
が、離れない。

まるで手が石に吸い付かれてるようで、そのまま引き込まれてしまいそうなほどの力。

「なにこれ!?とってよー!」
ラシェルドに恐怖が押し寄せてきた。

ティゼアがラシェルドの手を掴んだが、ラシェルドの手はぴったりとくっ付いてしまっているようだ。

「おねがい!ラシェルドをたすけて!」
ティゼアがすがるような目でレフィードに頼んだ。

「石よ、我の声に答えよ…」
レフィードは、なにやら呪文を唱えはじめた。

それを見たティゼアは、きっとレフィードがあの石からラシェルドを助けてくれるのだと思った。
 
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