lichtschein‐光‐

□lichtschein《外伝》
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―それは今から10年前―


伝説の英雄の子孫ラスレン。

彼がまだ13歳のころだった。


ラスレンは友人のルディクと一緒に、こっそりと訓練を抜け出していた。

ルディクはラスレンと同じく、隊長のソルゴに剣を習っている仲間だ。
ラスレンより三つ年上だが仲の良い友人だった。

「こらっ!お前ら!訓練はどうしたのだ!」
後ろから声が聞こえた。
二人が振り向くと30代後半くらいの兵士が立っていた。

「やべぇ!見つかっちまったぜ」
慌てるルディク。

「まずい!ゴーケンさんじゃないか〜」
ラスレンは、ゴーケンとは顔見知りだった。

ゴーケンは精鋭部隊に所属する上級兵士だ。

「ラスレン!ルディク!お前らちょっと来い!」
ゴーケンは二人を連れて行った。


そして――


「ばかもん!お前たちは何をやっているのだ!やる気があるのか!?気がたるんでいる証拠だ!」
ゴーケンは二人を叱った。

(長すぎるんだよ。早く終わってくれ〜)
ラスレンも隣にいるルディクも長い説教から解放されたいようだった。

「特にラスレン!もっと英雄の子孫としての自覚を持て!」
「…はい」
ゴーケンに指摘されラスレンは力のない返事をした。


――――


ゴーケンは隊長のソルゴに報告した。

「そうだったか…私からもラスレンに厳しく注意しておこう」
30代半ばのソルゴは隊長だけあって体格の良い兵士だった。

ソルゴは、幼いころに両親を亡くしたラスレンと弟のシャークを引き取って育てた養父でもあった。

「まったく…困った息子だ」
ソルゴは静かにラスレンのことを口にする。

「息子…でありますか。私にも二人の息子がいましてな。長男のルインと次男のエリレオであります。…ですが、上の子ルインが家出中で、長い間連絡がとれない状態なのであります」
ゴーケンが話を続けた。

「ルインがいないため、先祖秘伝の剣技を下の子のエリレオに継がせることにしたのであります。エリレオは今9歳で、毎日はりきって剣の修業をしているであります」
ゴーケンは後を継いでくれる息子の姿に安心していた。

「そうか。では、いずれはこの城の兵士として働くことになるだろうな」
「もちろんであります。入隊したら息子エリレオのことをよろしくお願いします」
ソルゴとゴーケンは穏やかな笑顔で話をしていた。


――――
 

 
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