□ジュウゴ
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ひとつが終わってひとつが始まって。

世の中はそれの繰り返し。

一時が終わって、一時が始まる。

時間は人間に与えられた唯一のお金。

誰にもじゃまされることなく、使い切れるもの。

その使い道も、全ては自分のものだから。

自分のために使い切ってほしいなぁ。

































- clover - 〜幸せ。只、それだけを願って。〜<壱拾五>

































「さて、あんたらはこれで帰ってええよ。八百万での報酬のもらい方は知ってるか??」

初任務を終えたばかりの自分の部下に心配をかけると、部下は笑っていった。

「はん!! そんなん分かるに決まってるだろ?? 俺たちはもう一人前の神だぜ!!?」
「ハ…さよか…」

少し調子に乗り気味の部下を解散させ、ナツキは1人歩き出す。





























ナツキは神通大通りを横にそれて、脇道に入ったところを歩いていた。

「ナツキ…」

八百万で報酬でも貰ってこようかと考えていたところに声がかかった。

「チカ…気づかなかった…」

チカと呼ばれた女の歳はだいたい二十代後半。

緋色というよりも、オレンジに近い目に、薄い茶色のような黄色のような髪。

全体的に色素が薄い感じがする。

その一族は、亢斗(あみひつき)という。

物腰や立ち振る舞いからは、彼女が相当の実力者であることが伺える。

「初のお子様の世話はどうだった…??」

くすりと皮肉を込めてチカは聞いた。

「そうでもないんよ… 結構、楽しめたわ…」

しかし、答えは意外なもので、ナツキの顔は笑顔だった。

チカも数名の下神を部下に持っていたはずだ。

「なぁんだぁ〜あんたも結構楽しめたんじゃない〜♪」
「そうかも…」
「その顔は、一発やってきたんでしょ??」

チカのやってきたとは、戦ってきたと変換される。

「ん…ちょっとあって、この防具をはずしたけど…そんな大きい戦いにはならへんかったよ。」

その言葉を聞いて、チカは顔色を変える。

「あんた…!! まさかソレハズして戦ったの?? 木は、草は大丈夫?? 子供に怪我は無かったの??」
「草とか木とかは、まぁ…大丈夫じゃなかったかもしれへんけど、子供達は大丈夫やってぇ。」

チカの剣幕に押されて、さすがのナツキも半歩下がる。

「…そ…そう。ならいいけどさぁ…」

チカは外見がかなり大人っぽい。髪をシャギーにこれでもかとばかりにすいていて、

のこりの下のほうの髪の毛は肩下ほどまでのばしてある。唇には、春の新色が光っていた。

「あ、そうそう!! Starsの、チーズケーキ手に入れたんだぁ〜♪今度一緒に食べよ!!」
「まじで!!? あこのはすっげぇうまいんよなぁ〜」
「あたしの家でデートだぁ〜やったぁ〜!!」

しかし、その言動はかなり子供らしく、ナツキと会話していると、どちらが年下か分からなくなる。

そんな会話をしながら、2人は周囲に気を配る。

いくら性格が子供といっても、チカの実力は上神。

ナツキに会うために来たとは考えにくい。急ぎか、もしくは誰にも聞かれたくない用があるのだろう。
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