話
□ジュウイチ
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(…あ…れ…??)
美砂都の意識がまた戻ってきた。
(赤い…ものが…無い??)
しかし、今度の美砂都は、地面に横たわっている感覚だった。
支えてくれていたら、赤いものは全く見えない。
しかし、さらに目を開けた美砂都に、衝撃的なシーンが現れる。
(…なんで…榎澄と…ナツキさん…が…??)
起きあがろうとして、自分の体がやけに重いことに気づく。
別になにかに縛られている感覚は無い。
(…なんで…なんで…)
必死にばたつこうとするが、それもかなわない。
(…榎澄…ナツキさん…)
目を開けるのもだんだんつらくなってきた。
しかし、美砂都は決して目を瞑ることなく動こうとする。
声も出ない。
(榎澄…!!!)
「…あなたは…相変わらず…強い…」
「それ、分こうてて…仕掛けてきたんやろう??」
「…その通りだ。」
太真代はひどい有様だった。
額のどこかが切れて、顔の半分をべったりと血が覆っている。
左腕からも出血がみられる。美砂都の見た赤いものはこれだったのだ。
「…なぁ…お前は…僕の命を持ち帰れって言われてんの?」
ナツキの声が切れ切れなのは、太真代と違って息が荒いからではなさそうだ。
「… …っ」
太真代はまたあきらめずにむかってゆく。
「あ゛あ゛〜!!!」
刀を振りかぶり、ナツキに突進してゆく。
一方ナツキは素手だった。しかし、ひらりひらりと避けられてゆく。
「っ!!?」
太真代の手首を、ナツキの振り上げた足が、とらえる。
そのまま足を振り下ろして、太真代をなぎ倒す。
ナツキは信じられないほどの速さで、太真代の首めがけて手をおろす。
しかし、太真代は押さえられた手首を軸に体をひねる。
ドス