□ジュウロク
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八百万でココアを飲んでいたナツキの神石がきらりと光った。

「…はぁ…」

彼女はため息をつくが、周りで宴会まがいのことを行っている上神仲間はきづいていない。

「え〜何〜そしたらさぁ、紗希ったら、ナツキの教え子ハメたわけぇ〜??」
「そうなん!! ってか、まじめにちょ〜かわいい子ばっかだったからぁ。いいでしょー百合〜!!」
「花奈もあったんでしょ?? 今度あたしも会いたい〜!!」

いや。彼女たちのコトだから、分かっていても無視しているのかもしれないが。

「…はぁ…」

また独りため息をついて、アオイのことを思う。

なかまである紗希からある程度の事情はきいたし、過去のことも神宮帝から聞いている。

 あの子は…なにも感じんと…感じんようにと…生きてきたんやろぉなぁ…。

物思いにふけっていると、また神石がきらりきらりと光る。

「あ…」

今度は忘れていたときの声を出して、ナツキは立ち上がる。

「どした…?? ナツキ…」

同じように端に座っていたチカが声をかける。

「うん。宮様の集まり…」
「そっか…」
「あんたの姉さんに会えるわ。相変わらず美人なんやろな。」
「あんたそんなとこ見てるの??」
「別にそんなとこではないやろう??」

チカは少し遠慮がちに言葉を紡いだ。

「でも…」
「何や…??」
「気をつけなよ。あいつらは…あんたをあまり…」
「分かってるって〜」

チカが少しあきれたように見上げると、ナツキはくしゃっと笑った。

「ま、ええわ。んじゃ。いってくるわぁ〜」





ナツキはてくてくと歩いていく。自分はどうせあまり関係の無い集まりだ。

それに建前上参加しているだけの自分をよく思ってない者がいるのも事実である。 

  『三大貴族がなんだっていうんだ。何も守れないくせに…!!!』
  『図に乗るな…餓鬼…』
  『まぁいいさ。ボクは君が嫌いだから。』

「はぁ…」

しらずしらずのうちにため息が漏れる。

これは自分が旅からこの国の中央に戻りたくなかった原因の1つでもある。

チカは、いつからか姉をねぇさまとは呼ばなくなった。

姉が自分を嫌っていることを知ってから、あまり関わりもないようだった。

しかし妹想いのチカの姉がそれを許すはずもなく、更に自分は嫌われることになってしまった。

「…」

そうこうしている間に明蘭宮についてしまった。

「はぁ…」

最近ため息ばかりだ…などど一人ごちて、遅れてもなんだと重たい足を進める。

足など進めなくとも術ですぐに着くのだが。









「四ッ葉夜華宮夏希青龍将さま。御入室でございます。」

部屋に入れば、4人の宮帝がそこにいた。

白銀の瞳をいつも不機嫌に歪ませいている20代後半の男性は雪宮帝。

その隣で雪の雪宮帝の肩にもたれかかり、灰色の長髪と赤の瞳をしている、一見女性の20代前半は月宮帝。

少し緊張気味に椅子に腰掛けている、ポニーテールの眉が薄い女学生くらいの子は星宮帝。

あきれるほどに若い、というより男の子とゆう感じの子が海宮帝。

空宮帝はいつも欠席なので、まだ来ていないのは花宮帝ということになる。





ほどなくして扉が少女達の手で開かれる。

「亢斗チエ花宮帝さま。御入室でございます。」

チエは、花宮帝はナツキの横を通る時につぶやいた。





「おたくの子らに会ったわよ。ちょっと遊んだけど。」

花宮帝はナツキにその棘をさしてきた。
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