話
□サン
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僕には、生涯を全て掛けてでも、
もう1度あいたい。そんな人が、いる。
それは、赤い男の子でも、銀色の彼でも、紫の姫でもない。
大事な大事な人。
思うと、ポロポロとあふれ出てくる。
けど、それも昔の事。
泣かないんじゃなくて、思い出さないだけ。
幾ら弱くてもいい。
けれど、もう2度とあの人には会えない。
僕が何を願っても。もう・・・あの人には会えない。
けれど、それを願うことすら・・・僕には罪なのだろう。
- clover - 〜幸せ。只、それだけを願って。〜 <参>
『・・・・・・・ 今日、あなた方、八〇名の第壱期が終わります。
第弐期まではまだまだ長い年月とたくさんの技の習得を・・・・・・』
そんな声が、学院ハピネスの大ホールには響いていた。
この学院ハピネスには総学院長並びに、副学長(数名)が存在する。
総学院長はすなわち神宮帝の事を表し、大抵の場合は学院長様と呼ばれる。
そしてこのシラ達の学年の第壱期の終了式にもまた、第壱期副学長が言葉を述べていた。
『・・・・・・第壱期と第弐期には様々な違いが起こります。
そのためにも、これから行われる実習で…』
たった八〇名の生徒達。それはたくさんの『生徒(候補)』の中から六年耐え抜いた者たち。
そしてそれだけの実力をもつものたちである。
ハピネスは他の国では見られない制度を多数採用しているが、
そのウチの1つに、本物の神と2〜4人一組での旅がある。技術習得、実戦経験を目的としたものである。
とりあえず八〇名全員が神との行動をともにするのだが、
途中でその神が無理と判断した場合はその時点で第弐期への残留は認められない。
また第弐期終了の決定を下すのも、その神である。
それだけの決定権を持つ神は神宮帝がじきじきに選んだ選りすぐりの神である。
師である神は自分の生涯の先生になるのだ。