話
□ゴ
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どんな時代だろうと、
どんな国だろうと、
必ずその国には指導者がいて。
その息子がいて。その、娘がいて。
それはすなわち"お姫様"ってヤツで。
だけど、ボクは思うわけで。
どんな時代で
どんな国だろうと、
"お姫様"は、やっぱり、女の子なんだって。
- clover - 〜幸せ。只、それだけを願って。〜 <伍>
広大な倫の国にも朝日は昇る。
その光はすべての物を一度白く染めてから、
周りに深い深い影をつくってゆく。
「あぁ〜!! もう眠い!!」
シラは寮の部屋の窓から飛び降りる。
ここを通れば他の生徒に指を指されることもないし、
丁度立っている松の木を伝ってかなり遠くまで行くことができる。
「・・・ あ〜 ナツキ先生っサイアクだ〜・・・ ・・・っ! およっと。」
松の木の終わりをひょいと飛び降りて、3m下の道へ降りる。
そこへ、アオイが通りかかった。
「・・・もぉ〜さっきから眠い眠いって、アンタの声だったのね。シラ!」
シラの様子とは違い、アオイはちゃんと覚醒しているようだ。
「それに、もう朝日が昇り始めてるじゃない・・・?」
たしかにその通りなのだが、世界でも東に位置する倫は日の出が早い。
なにせまだ4時30分なのだから。
「・・・にしてもさぁ〜 シジョウってかっこいいと思わない??」
なんて話だすアオイは本当に眠くないようだ。
「それに、今期の神で一番強いしぃ〜」
「あんなヤツ!! すぐに抜かしてる!!!」
にこにこと話ていたアオイだが、突然のシラの大声に、身をすくめてしまった。
アオイとて、ハピネスにいたのだから、シラとシジョウの関係は知ってるつもりだ。
何かにつけてシジョウにシラがつっかかるのも。
だが、さすがに男の子に怒られれば怖いわけで。
(もぉ〜なんでウチの隊は男2人に女1人かなぁ〜もう〜)
アオイのそんな心のつぶやきが、目を炎にして燃えるシラに届くはずも無かった。