話
□ク
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なんでやろう?
なんで、僕の周りの人はみんな…
僕の敵になってしまうんやろうなぁ…??
ぜんっぜんわからへん。
なんにね。
時間はどんどん過ぎてって。
僕は…今…
- clover - 〜幸せ。只、それだけを願って。〜<九>
それからしばらく。
一行は歩き続けた。たいしたことも無いし、神宮帝からの応答も無かった。
「なぁ〜榎澄ねぇちゃん〜」
「なんですか? シラくん。」
ふわりとそよ風が吹く。
「きもちいねぇ…」
「…はい…」
午後の風は穏やかで。それでいてとても残酷で。
穏やかさってのはいつだって、嵐の前の静けさから。
「この国の気候はいつでも春か夏やしねぇ…」
「”はる”? ”なつ”?? 何それ??」
しかし。誰もがそれを今楽しんでいて。
「シラ…習ったじゃない。世界の気候を4つに分けて称している”季節”ってものよ。」
「そっ!それくらい知ってたよ!!」
「往生際が悪いなぁ。シラは。」
それは今を愛しているってコトでしょう。
「綺麗な、花ね。」
美砂都は道に咲く花をみつけていう。
黄色いその花は、少ししなだれかかるように咲き、
何かを待っているのか。それとも何かをつかみ取ろうとしているのか。
「…これは…」
「これはねぇ…」
榎澄の言葉にナツキの言葉が被さる。
ナツキはかまわずに話しを続ける。
「菖蒲(しょうぶ)の花やよ。これは。綺麗な花やろ。んで、儚いなぁ。」
「詳しいのですね。」
美砂都が噛みつくようにいうと、ナツキはふわりと笑う。
「昔ね、こんな子がおったんよ。」
「美しい人だったんでしょうね。」
そして今度は悲しそうに。
「いやね…。その子の大きくなった姿は、見れてないんよ。」
「…そう…ですか。」
あまりにも悲しそうだったから。美砂都はこれだけしかいえなかった。