舞う言の葉

□『プラネタリウム』
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梅雨の雨降る日曜の午後。
私は、町の古びた博物館へと足を運んだ。
いろいろな展示物を見ていると…。
「プラネタリウム〜冬の星座〜」
何故今ごろ冬の星座を…?私は早速その中に入った。プラネタリウムが始まると…。
雨なのに晴れ渡る夜空。昼間なのに満天の星。
そんなこと、あるわけ無いのに。子どもの頃には気付かなかった、そんなことに今更ながら気付く。
少しうわずった声で、ナレーションは悲しい神話を語る。
シートの上の、今すぐ手が届きそうなところで瞬く星。
ようやく冬の星座を写す理由がわかった。
そう、それは夜には沈んでいる星たち、つまりは昼間に見えている星たち。
星の映像が消えるまで、私はずっと夢中で夜空を見上げていた。

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