綴られた言の葉

□残酷な少女
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それを見た男の顔は一気に青ざめた。
赤い文字の、記号の一つひとつから、白い羽を生やしたモノが出てくる。それは、どこか童話の妖精を思い出させるような美しい容姿。身体を二分するように、足元から腹の辺りまで赤く染まっていた。
「「「「「「まま、まま」」」」」」
幼い、甘えたような声でそのモノは少女の下に集まる。少女はまるで母親のような優しい微笑みで、優しい声で、そのモノたちに語りかけた。
「あぁ、今宵も可愛いこどもたち。さぁ、ディナーですわ。お行儀良く、お腹いっぱいお食べなさい。……あ、そうそう、頭は食べちゃ駄目よ?」
そのモノたちが男の方を向く。
「「「「「「……あっあ!!」」」」」」
それは、きゃっきゃと嬉しそうに。
ばさばさばさ、と羽音を立てて。
「あああ……あ」
男が目を見開く。
そのモノたちは、男に次々と飛びかかり、やがて、それが男とは判らなくなる程に埋め尽くされた。
「ふふふっ……美味しいかしら?可愛い坊やたちは食欲旺盛ね」
鋭い歯で肉にかぶりつき、男の体内から滲む赤い液体を啜り、骨は破壊され。
内臓はそのモノたちの手によってかき回される。
ナイフで傷つけられた脇腹は、もうすでにそのモノたちの体内に納まっていた。
ぴちゃ、ぴちゃと男の足元に赤い雫が零れ落ちる。
「さぁ、そろそろお終いよ、可愛いこどもたち。お帰りの時間ですわ」
ぴたり、とそのモノたちの手が止まる。体はもうすでに真赤になっていた。
「こっちへいらっしゃい」
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