魔法世界
□18:こちら、吸魂鬼退治屋
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軽く振ると、ハリーの落ちる速度がぐっとゆるまる。
けれどここで安心してはいけない。
ハリーが落ちるのは吸魂鬼の上だ。
下手をしなくても餌食になってしまう。
本来なら競技場へ駆け込んでいる筈のダンブルドアが、まだ席にいるのだから。
多分ダンブルドアは上の吸魂鬼を先に追い払うべきだと考えたのだろう。
なら私は、ハリーがこれ以上影響を受けないようにしなければならない。
考えて、ハリーが落ちた場所へ再び走る。
はっきり言ってこの数の数の吸魂鬼へ突っ込むのはなかなか勇気がいる。
黒いぼろマント。
中身はろくに見えない上、人ではない。
まるで怨霊だ。
倒れたハリーの側に、彼を庇う様に立ち塞がる。
「近付かないでよ!」
声を出す。
彼らが聞くわけもないのに注意してみたりもした。
奴等が私の幸福や楽しい気分を吸い取れないのは、今までの二度の接触で理解している。
どうして平気なのかはさっぱりわからないが。
ただ、これ以上ハリーに近付けるのは得策ではない。
彼は死んだ母の声を、聞き続けることになるのだから。
「ルーモス」
杖をかざしてそう唱える。
すると自分の周りが異様に明るくなった。