永遠の存在
□変装上等:中編(全46ページ)
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キャシーに着いた悟史と清水は、店の中の神々しさに緊張し、手を取り合って中を見て回った。
「あぁらぁん♪カワイイ〜★」
「マスターが言ってた子達ネ♪」
「アタシ達、応援しちゃうわン★」
体は男、心は女のニューハーフ達に囲まれてしまい、免疫がない二人は戸惑った。
「うぉ。早速やってんな」
笑いながら大股で二人に歩み寄るマスター…三浦は、二人に女性達…いや、男性達を紹介した
。
そして、休憩室へと連れて行かれた二人は、スーツに着替える。
「いいか?お前らが未成年だっつーことは内緒だからな」
「了解」
「了解、マスター」
ウェイターに扮した二人はやる気満々だ。
「あと…名前で呼び合うと何かとマズイ。そうだな…」
三浦は少し考え込み、パチンと指を鳴らした。
「よし!悟史はレイ。チビはランでいいか。店ん中ではそう呼べ」
「レイ…か。了解」
「チビ…。ランも…女の子みたい…」
「よぉチビ。そういやあ、名前訊いてねえわ」
「清水晃です」
いきなり三浦は、二人の首筋に鼻を寄せた。
「…お前ら、ああ…そうか。確か…」
三浦は、棚の上に所ぜましと並べられた単色カラーの小瓶を物色した。
「三山…あの綺麗な瓶って…」
「あれは香水だ。どうかしたのか?」
「ううん…ただ、綺麗だと思ってさ」
赤や青、黄色や緑…乳白色のものや虹色をしたものまでが、明る過ぎる照明の反射を受けて、まるで宝石のようだ。
「これなんてどうだ?悟史」
「あ〜…こりゃあ清水向けだな」
香水は一切使わない清水に、悟史はそれを吹き付けてやった。
「甘いニオイ…。でも、俺にはキツいや」
甘く、濃厚な香りに身を包まれる。
「俺はこれかな」
「悟史らしいな」
悟史も香水を吹き付ける。
清水のものとは対象的な、大人の男性を思わせる香りのきついものだ。
「村川の香水とニオイが似てるね」
「そうだな。これなら高校生とは思われねえ。清水もな」
「そう?」
すっかり大人の色香を放った二人に三浦も感心した。
悟史はホールに。
清水はキッチンとホールの補助として、それぞれ配置され、勤務が始まった…。