※短編集※
□幼少時代(U)
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翌朝。
雄二が起床すると、双子はランドセルに教科書を詰め込んでいた。
その傍らに腰掛け、言った。
「慶太、光輝。これからは家に帰って来てから“時間割りを合わせなさい”」
「時間割りを合わせる…???」
「えっと…学校へ行く準備のことだよ」
「分かったー」
「分かったー」
新しい朝の始まり、雄二は双子がどんな学校生活を送るのか少し楽しみだったりする。
同日、夜。
雄二が帰宅すると、双子は居間で眠っていた。
疲れたらしい。
「お〜い、ただいま〜」
まだふっくらな頬をつつくが無反応だ。
仕方ないと苦笑しながら夕飯をこしらえ、テーブルに料理が並ぶ頃に双子は起き上がった。
「よっぽど疲れてたんだな。どうだった?学校は」
雄二が訊くと、双子は顔を見合わせた。
「…同じ幼稚園の奴に、お父さんに名前書いてもらったって馬鹿にされた」
「何かね、お父さん有名人だから…皆が羨ましがってた」
「???」
この時、雄二には理解出来なかったのだが…。
後に納得出来た。
双子のクラスは別々なのだが、慶太の担任の先生が雄二の教え子だったのだ。
「荒沙妃高校では、本当にお世話になりました」
後の家庭訪問で、そう言われた。
双子にはまだ関係が読めないが、担任の先生が刷り込んだのもあって…。
次第に、双子は父親を尊敬するようになった。
〜END〜