永遠の存在

□変装上等:後編(全57ページ)
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校門を出た悟史は、白い鳥居を見た。


(気になる…)


そこへ、先程の片目を隠した男子が鳥居をくぐって行くのを見つける。


悟史は辺りを見回した。


もう、薄暗くなってきている。


(あの鳥居の先は…山だな。あいつ…あんなこと言ってたけど…実は怖かった?)


そう考えると、あの男子が山へ向かう訳が分かる。


(止めねぇと…)


思い込んで、男子の後を追って白い鳥居をくぐった。


しばらく走った所で、ようやく発見できた。


「お〜い!!」


悟史の声が山びこと化し、男子が振り向いた。


「…何?」


男子は冷徹な眼差しで悟史をうっとおしそうに睨みつけた。


「いや…お前が入って行くのが見えたから…。何してんだよ、んな山ん中で…」


「…君には帰る家がないの?可哀想だね」


男子は鼻に皺を寄せ、口は笑うという皮肉の表情を見せた。


「…お前さ、その顔と言い方、改めた方がいいぞ。人が心配して来てみれば…」


「余計なお世話。赤の他人の僕を心配?君、頭おかしいんじゃないの?」


鋭い口調で言い放ち、皮肉の表情でまたも睨みつける。


「…なあ。俺の、髪と目の色が気持ち悪いか?」

男子がこんなにも辛く当たる理由としては妥当だと、悟史は思い…訊いてみた。


しかし…。


「…フッ…アッハハハハハ!何を言い出すかと思えば…そんな些細なもの、全く関係ないよ」


「些細だ?俺にとっては…」


「君の身の上話なんてどうでもいい。僕の視界から失せろ…。僕は人との関わり合いが大っ嫌いでね…」


血を吐くような物言いの男子。


清水より少し低めの背丈ながら、その目は殺気…憎しみに満ちていた。


悟史は多大なダメージを受け、言葉が喉を通らず…無言になった。


「…フン。僕の言ったことに不快を感じたなら…二度と僕に近づくな」


男子はきびすを返して歩き出す。


「…ッ!名前!…教えてくれても…いいか?!」


言葉がうまく出ない悟史だが、搾り出すようにそれだけ言えた。


「…日向聖」


振り返ることなく、男子は言った。


「俺、三山悟史。ひじりって…聖なる?」


「…そう」


男子…日向はそれだけ言うと、再び歩き出した。


「良い名前だな!」


どこか満足した自分がいる。


悟史はきびすを返して、走り出した。


最後に言われた一言に振り向いた日向は、鼻で笑う。

「最初は皆、そう言うんだよ。そして…手の平を返す」


呟き、隠している片目に触れた。
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