永遠の存在

□荒沙妃高校七不思議(全56ページ)
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裏庭にて。


「あの子なんだよ」


奈津井が示した方向に、日陰で女子生徒が佇んでいた。


悟史は女子の方へと歩み寄った。


女子は笑顔を見せる。


「何の用?」


悟史はそっけなく言った。


「付き合って下さい…って言っても、三山先輩…絶対に断わりますよ…ね」


「…悪いけど、無理だ。じゃあな」


「待って!お願いです…。私と、セフレになってくれませんか?」


「…は?」


予想外のことだ。


「いや…何言ってんの?」


「駄目…ですか?」


「駄目とか、そういう問題じゃねぇだろ。常識外れもいいとこだぜ…」


立ち去ろうとする悟史の、シャツの袖を引いた女子は…じ…と見つめてくる。


「私…そんなに魅力、ないですか…?」


女子は涙目だ。


「だから…」


「お願いします…。先輩を感じたいから…」


女子は抱いてくれと言わんばかりに、体を寄せて来たが…。


「…暑いから離れろ」


突き離され、呆然となる。


そして…。


涙をボロボロ流して、歯を食いしばった。


悟史は女子を放置したまま、物陰で一部始終を見ていた奈津井の肩を掴んだ。


「三山…あんた、運がないねぇ」


「うるせぇ。後輩、慰めなくてもいいのか?」


「いいんだよ。後で報告に来るだろうからね」


二人は教室へ戻ろうと歩き出した。


ふと、新聞部の部室の前を通りかかった時、学級新聞が貼られた掲示板に目がとまった。


「荒沙妃高校七不思議、その実態を捜査中…。誰もいないハズの音楽室から、ピアノの音が…」


「やだねぇ…」


二人が並んで新聞を読んでいると、男子が肩を叩いてきた。


「やっほぅ。その記事、面白い?」


「よぉ。生きてたんだな」


「アハハ…。新聞部は廃部寸前だからさ…今回は皆、本気出してんだよ。ソレについて何か分かったら、俺に報告してくれよな!」


「いくら出す?」


「写真付きで、桃井さんのスリーサイズと引き換えでどうだ?」


「乗った!!」


二人が腕を組むのを、奈津井は溜め息をつきながら舌打ちした。
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