‡参之巻‡

□知りたかったのは
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昨日まで信じていたモノが

今日は信じられないモノへと変わる

真実だと信じていた、いや信じさせられていた日常は

こんなにも

呆気なく崩れてしまうモノなんだ―…







りたかったのは・







本日の上忍はたけカカシ率いる第七班の任務:
『火影邸の庭の草むしり』


「サスケく〜ん、この草大きくて抜けないの〜手伝って〜?」

「ちょっといのぶた!サスケ君嫌がってるじゃないのよ!!」

「何よ?サクラは関係ないでしょ!このデコ!」


任務地であるこのだだっ広い庭には、少女達の激しい言い合いが木霊している。

(…一体何なのよこの状況はι)

この少女達から醸し出される何とも居た堪れない、ピリピリと張り詰めた異様な空気に最も早く疑問を抱いたのはカカシで。


「あのー…君達?」

「「何ですかカカシ先生?」」

「いや…何でアスマんとこの子供が居るのかなぁと」


勇敢にも彼はこの場に居た(七班の)男性陣達の素朴な疑問を代弁した。
       . . .
そう、本日の第七班の任務は火影邸の草むしりの筈だったのだが――

どうした訳かこの場には七班以外に十班の子供達も居る訳で。

草を抜こうとしているのを見る限り任務を手伝ってくれる気はあるみたいだけれど…


「合同任務なんて話は聞いてないんだけどね?」


第一アスマの姿が見えないし、一体あの熊は部下ほったらかして何やってんだ。

カカシは未だ掴めない状況に首を傾げつつ、心の中で今は居ない自分の同僚に向って毒づいた。


「俺たちは火影様にナルト達の任務を手伝うよう言われたんスよ、めんどくせー事に」


見ての通りこの庭はかなり広いんで一班だけじゃ手に負えないだろうし、ちょうど俺たち十班は今日アスマに単独任務が入ったんで暇だし。

それで火影様が直々に俺たちを指名したんです。

そう言って心底めんどくさそうに、けれど淡々とカカシに説明を施したのは同期の中で唯一中忍へと昇格したIQ200の頭脳を持つ天才・奈良シカマル。

彼が言うには本日の七班の助っ人としてシカマル達がつけられたそうだ。


「ま、火影様の命令なら仕方ないね。それよりも…」

「?何スかカカシ上忍」

「いや………」


(アスマの奴部下から呼び捨てにされてるよι)

ウチのサスケも大概生意気だけど、アイツんトコも大変だなぁ。

そう喉まで出掛かった言葉をカカシはそっと飲み込んだ。


***


それじゃあ気を取り直して。


「さぁ張り切ってキビキビ働いてもらおうかね!」


無駄に大声を出して珍しくやる気を出したカカシの目に次の瞬間飛び込んだのは、何時ものアレ。

サクラといのによる熾烈なサスケの取り合いというものだった。

先程の草抜きの件から延々と続いていたのだろう、二人共ゼィゼィと息が上がっている様子。


「こらこらお前ら好い加減に…」


折角こちらはやる気をだしたのに彼女達がこれじゃあ意味が無い、とカカシが止めに入るも


「「先生は黙ってて!!」」


息のぴったり合った二人に呆気なく返り討ち。


「…………はい。震」


カカシは成す術なく黙り込んでしまったのだった。



(相変わらず駄目上忍だなぁアイツ)


そんなカカシの見事なヘタレっぷりを少し離れた所から眺めていた子供が一人。
その余りの情けなさに子供は喉の奥でクツクツと笑いを堪えていた。

ふとその子供に気付いたシカマルが、周りに気付かれぬよう口だけを動かしてその人物に話しかける。

その手法は『遠話』という任務中の忍がよく用いる会話手段。


普通ならば、たかだか中忍程度が使える筈の無いものだった。
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