‡参之巻‡

□知りたかったのは
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フッ


「…………!?」


突然感じた忍の気配。
気付いた頃には既に遅く、周りを取り囲まれていた。


「…うちはサスケ、だな?」


敵の一人が確認するように問いかけてきた。

何故俺の名前を…?


「…一体俺に何の要だ」


気になる事は多々あった、けれどサスケは兎に角敵と間合いを取るべく話しながらじりじりと後退する。

今この場にカカシは居ない、先程綱手に呼び出されていたようだから。

サクラといのも草を抜きに向こうの方へ行ってしまった。

ナルトもシカマルも同じ。

つまり今は自分1人だけ。

この気配からして敵は上忍以上の力の持ち主、その上複数いるようだし。

――俺1人でやれるか…?

背中を嫌な汗が伝うのを感じた。


「うちは一族最後の生き残り…その写輪眼我々が貰い受ける」


以前からこういう事は少なくなかった。

ただこの“眼”があるだけで奴らは自分を執拗に手に入れようと向ってくる。毎回毎回ご苦労なこった。

だけどな…


「そう簡単に奪われる訳にはいかねぇんだよ!」


言うと同時にクナイを放つ。

一体自分が何処まで対抗出来るかは分からなかった。それでもこのまま大人しく奪われる訳にはいかないんだ!


「向ってくるとは命知らずな…死ね」

「…ッ!?」


突如背後から聞こえた声に反射的に振り向く。

しまった…ッ!!

クナイを握った手を振りかざす忍を眼で捉えながら、それでも動かない体。

ガードすらも儘ならず、唯次にくるであろう衝撃を想像して歯を食いしばった。


「…………?」


しかし受ける筈だった痛みは一向に訪れない。

代わりに、敵のものと思われる悲鳴が小さく聞こえ、
驚きうっすら開けたサスケの眼には何時もの見覚えのある金色が映った。

この金色は―…


「…ナルト…?」


確かにあのナルトだ…

けれど何時もと纏っている雰囲気がまるで違う。感じるのは、先程と同じ背筋の凍るような強大な殺気のみ。

これは一体…


「…俺の目の前でうちはに手を出すとはいい度胸だ、覚悟しろ」


俺の頭が混乱している間に、ナルトは低く敵に呟き敵の一人を一瞬にして地へと沈めてしまった。

本当に一瞬、この写輪眼でも見切れぬ程のスピードで。


「俺は此処にいる奴らを片付ける。シカマルはサクラの方へ向った奴を、いのは綱手にこの事を報告しろ」


「「御意」」

「!?」


いつの間に来たのかシカマルといのの二人にナルトが指示を出す。


一体これは何なんだ…?

何故コイツらが戦っている?そして何故こんなにも強いんだ?

ナルトの前に次々と崩れ落ちていく上忍以上の忍達を、サスケは混乱している頭で囚われたかのように見詰めていた。


俺が昨日まで見ていたモノは何だった…?

事実だと信じていた、信じさせられていたモノは

今こうして、音を立てて崩れていく―…
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