‡参之巻‡

□知りたかったのは
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「ナルトー綱手様への報告完了よ。ついでに屋敷に居た音忍の奴倒してきちゃった」

「俺もサクラを襲ってた奴の排除完了。サクラの記憶は消してきたから」

「ん、ご苦労様」


あれからたった数分。

ナルト達の前には先程まで動いていた今は物言わぬ塊が山積とになっていた。


「…………」


サスケは未だに口を開けない。この現状が信じられないでいたのだ。

けれどこれでやっと今までの違和感に説明がつく。
完璧すぎるドベの姿、偶然見てしまった不敵な笑み、

そして…

あの殺気…

自分の中でひっかかっていた何かに、やっと気付いたような気がした。


「…さて、どうするかな?」


不意に今まであちらを向いていたナルトが振り向いた。視線と視線が絡み合う。

コレが、本当のナルト―…


「ナルト、やっぱりサスケの記憶は消した方が…」

「シカマル…」

「全てを知るのはまだ早すぎる、それに…」


コイツにナルトを受け入れる事が出来るだろうか?

さっきサクラを助けに行ったとき、彼女は明らかに自分に怯えていた。

だから記憶を消してきた。まぁ始めからそうするつもりではいたんだけれど。

そんなサクラのように、サスケもナルトを恐れるかもしれない。

護衛とはいえナルトにとっては今まで任務を共にしてきた仲間なのだ。そんな人物に拒絶されてしまったら…


きっと彼の心は壊れてしまう。

忍としての強さと精神の強さは、必ずしもイコールで結ばれる訳ではないんだ。

だから今は記憶を消そう。

いのも同じような心情だったのでシカマルの意見を否定しない。ただナルトに哀しい思いをさせたくなかった。


「…それじゃあ「ナルト!!」」


術をかけようとしたナルトをとっさにサスケは静止する。


「…何?」


サスケの眼には色々な感情が映っていた。

あぁ、質問攻めにでもあうのだろうか?

何故力があるだとか、何故いのやシカマルも一緒なんだとか、


何故騙していた、とか―…

騙していた、そう言われるのが一番つらかった。

けれどサスケの口から発せられたのは


「そんな実力を持っているなら俺に修行をつけてくれ」


予想を180度裏切ったものだった。


「…………はい?」


今何ていった?修行つけろって…へ?


「…何で怒らないんだよ」

「?」

「嘘、ついてたのに…」


ドベのふりをしていたのに、騙していたのに。

どうして責めないの…?

ナルトにはもう何が何だか分からなかった。


「…別に騙されたとか、思ってねぇから」


何となく気付いてたし、それに誰でも隠し事の一つや二つあるだろうし。

ナルトの混乱をよそにサスケは力強く言葉を紡いでいく。


「サスケ…」


認めてくれるの?俺の事…


「…ふぅ、この分じゃサスケの記憶を消す必要はねぇ
みたいだな」


今までのサスケの態度を見て、シカマルはそう口にした。コイツならナルトを支えてやれるだろう。

それに何となく、ナルトを大切に思ってくれる奴がいてシカマル本人もうれしかった。
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