‡参之巻‡

□黒蜜
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注意力が散漫している。これではおめおめと死にに行くようなものだ。


「‥だから暗部の任務から外せ、と?」

「あぁ、その通り」


暫らくはその方がいいと思うぜ?

一体奴に何があったかは知らないがそんな状態で足を引っ張られても困る。

面倒事はごめんだ と言わんばかりにシカマルは肩を竦めた。



一週間前、か。

ふむ、とナルトは顎に手を当てて考える。

その日は確かエイにとって初めての、そう、



「‥なぁ、シカマル」



――殺しの任務だった。



「アイツ今どこに居る?」



人を、殺したんだ。











あの感覚を 今でも未だ覚えている。

温かかったモノが急速に熱を失っていく あの感じ。

初めて人を殺めた 感触。


手が、震えた。


『やめてくれっ!!』


そう叫びながら倒れていく敵が。ただ殺す対象としてしか見ていなかったそいつが。


『やめ‥て…‥っ』


急に人間に見えて。

あぁ 自分は この人間の一生を奪ってしまったのだと。

リアルに そう感じて。


手が、震えたんだ。



生きる為なら何だってしてやると思っていた。
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