‡参之巻‡
□嫌いになれない
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綺麗な
綺麗な、思い出を
「ほら、可愛いでしょ〜?小さい頃の私v」
「いのってこの頃からサクラと仲良かったんだな」
「そうなのよ!あの子ったら私が居ないと…」
「―――コイツ…」
「え?ああこのサクラの隣に写ってる子?」
恋しく想ったとしても
「蜩ミヤビって言うの」
この子とはサクラの次に仲良かったのよね〜
きっと何も
貴方には敵わないよ
これは、誓い――
・嫌いになれない・
淡い光がぼんやりと影を落とす静かな部屋の中。
机の上に所狭しと積まれた文字通り山のような書類達を隅の方へグイと押しやって、
「はぁ〜今日も一日お疲れさん」
とこの部屋の主である五代目火影・綱手はべたっと机の上に突っ伏した。
つい今し方隅へと追いやった書類は勿論未処理のものばかり。ざっと見積もっても既に五日分は溜まっている事だろう。
普段ならこんな自体を補佐であるシズネが黙って見ている訳がないのだが、
生憎彼女はただ今砂との国交をより深いものにするため里を出ており不在なのだ。
「こんな機会めったに無いからね」
何時も散々扱き使われてたまったもんじゃないよ、と
扱き使われるのは自分が常に何日分もの書類を溜め込んでしまうせいだという事に気付いているのかいないのか。
綱手は一人ごちった。
「さてと」
シズネも居ない事だし。
「ここはいっちょ博打でも…」
「待ちやがれ」
「買b?!」
突然何者かによって中断されてしまった独り言。
何事かと振り返った先には一人の小柄な暗部が面を付けたままそこに立っていた。
「火影様、勤務時間はまだ終了しておりませんが」
どちらに御出でになるおつもりですか?
「いや何、ちょっと息抜きを…」
「ほーう…息抜きを、ね?」
綱手の返答に暗部の纏う空気が不意に鋭いものへと変わった。
「いつも職務を放棄してシズネ様に全て任せきっている貴方が」
「いや、あの…」
「今日も唯昼寝ばかりして一枚も書類に目を通していない貴方が」
「それは、えーと…ι」
「部下達をほったらかして息抜きですか、なるほど…」
「ぅ゛………」
「ふざけんなぁッ!!怒」
「うわぁ悪かったって!」
だから頼むから執務室を壊すのだけはやめてくれ、
――ナルト。
明らかに殺気を放つ暗部、基ナルトに綱手は背中に冷や汗が伝うのをリアルに感じながらそう言った。
部屋へ入ってきた暗部はナルトだったのだ。