‡参之巻‡
□黒蜜
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今でも まだ この瞳は
鮮明に覚えていて
あの 胸を押し潰す様な
息苦しさも 残っていて
その中に僅かでもあった温もりだけは
どんどん どんどん
薄れていって
思い通りにいくことなんて 一つもなかった―…
・黒蜜・
忘れはしない。
忘れてはいけない。
あの感覚を。あの温度を。
罪悪感なんて言葉で簡単に済むものならまだよかった。
けれど どうにも出来ないのは それほどの重みがあったからだということで。
それを、忘れるなんて許されない。
「エイの様子がおかしい」
その報告を受けたのは ナルトが暗殺の任務を終え報告書を持ってきた時だった。
僅かに血の匂いを漂わせた彼を何の気兼ねもなく呼び止められるのは きっとコイツ位だろう。
「どういう事、それ」
「今日の任務 一歩間違えば首が飛んでた」
「‥それで?」
「今日だけじゃない。昨日も その前も」
一週間程前から何か様子が違うのだ、と。
眉を中央に寄せながら シカマルは幾分か疲れたようにそう告げた。