‡参之巻‡
□未定
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花を 贈ろう
貴方が嘗て最も好んだ、真っ白い花
包んで 束ねて そうしたら
ちゃんと、貴方に届くよう
大空に投げるから
散った花びらの一片だけでも、香りだけでも、
贈れるようにと祈りながら
餞の花束を
『どうして人は、』
一つだけでは満足できないのか、と。
以前彼がポツリと零したその言葉を思い出した。
あの日から 考えて。考えて。
それでもまだ、
『ねぇ、どうして、
貴方だったの。
貴方でなければならなかったの』
答えは出ない。
「それ、」
アイツに?
不意に後ろから掛かった言葉にビクリと方が上下に動く。
振り向けば、其の人物もまた、手に同じようなものを抱えていて。