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□愚者の楽園へ 07-09
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愚者の楽園へ 07


 |ハピリィ|05|
 :happily

 

  [teller]
  ⇒ KONDO











名前を呼ぶと遠くからでも解るでっかい目が振り向いた。 光が瞳に映る。

たまたま早く戻って来たけど、 コイツは此処で俺の帰りをずっと待つつもりだったのかな。 まさかな。 否…有り得る。

風に張りつく薄手の着物で体の細さが解る。 手足とか首とか長細くなったなぁ、 もう小せえガキじゃねえんだ。 ちゃんと育ったじゃねえか。

あ、 きっとこれを父性本能ってぇんだな、 と思った。




この子供は
俺の家族だ

小さい手を繋いで
何度もこの道を通った



近寄って来る、 反射光が映る整った大きな目と逆光で白金に散る髪の毛先、 後ろは明暗グラデーションの掛かった空と飛び交う飴玉色の無数の宇宙船。 少し昔からは想像もつかない数だ。

夕景に雲がピンクや朱に染まり、 だんだん濃くなる藍色の空に以前よりずっと光量を増した塔の街が白々と浮かび上がる。


ターミナルから伸びる
幾本もの誘導光が
天を指す



目に映る光景が
脳に焼き尽く





あれ程誰かに
話したかった
未来の話を

すぐに切り出す気に
ならなかった



そして思った



将来もしも俺が何かに後悔して、 時間を戻せるとしたらきっと、 今日の今のこの時点、 この光景からやり直したいと願うんだろう。





俺らの腕が認められて
幕府お召し抱えに成る

その話を誰にもしない内に断っちまえば、 この子の言うようにレゲエでも聞きながら土を耕す、 そんな日々が待っている。




話を切り出せば

俺達は
この子は
リーガルで殺人が
職業に成るんだ

















総悟


あのよー

オマエ


泥遊びとチャンバラ
どっち好き

うん、 どっちか
PS2は無し











そんなの


答えは決まってる



















時が経って




大人が
寄ってたかって
進む道を
決めてしまった
子供に

今さら
仕事どうよ、 と
聞いてみた

普段
ふざけてばかりの
子供がサラッと
たまにウンザリする
と言った


そんな時は
小さい頃
遥か武蔵野から見た
この街を…







 夜の闇の中

 地平線に浮かぶ

 光の塔の島






アレを護ってるんだ
って思うとまだ
イケる感じ

…ならしい

















  刀を奮うならば
  正しいと
  自分が納得する
  事だけに














 -end-
 FOOL'S PARADISE
 07‖happily




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