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□愚者の楽園へ 07-09
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愚者の楽園へ 08


 |ボーダーランド|01|
 :border land

 










  大きな差は


 『守りたい何か
  の為に
  武器を取り
  闘かった人』

  と
 
 『武器を取り
  闘う為に
  守る何かを
  選び取った人』











 

  [teller]
  ⇒ SHINPACHI






より優性な遺伝子を残す為に同種で優劣を競い合う本能は略全ての動物に備わっていて、 競うのが羽の色だったりするのも居るけど、 大抵は力業、 喧嘩だよね。

それが乗じて同種で殺し合う行動は、 野生界では特に希有じゃない。 多種な哺乳類の進化の過程に人間が有るのなら……

自分の周りの仲間達は、 遺伝子にソレ的な野性に近い本能をたっぷり刷り込まれて生まれて来ただけ。

ソレはネイキッドなもんで親から代々受け継がれた遺伝子情報によって、 肌の色髪の色が皆違うのと同じ、 一つの個性。 手先が器用、 絵が巧い、 歌が上手、 甘いもんが好き、 そんなもんの一つとして好戦的な人も居る……と。

ウチの隊士はその闘争本能を生かした職に就いた。 音楽が好きな奴が歌唄いに成った様なもン。

でも戦闘士も歌唄いもただ戦う事が、 歌う事が好きだっただけで成れっかつったらそーじゃない。 道を選び訓練して勝ち取った結果、 プロに成る。


ソレって
悪い事スかね?









……と、

テロと闘う任務に就く僕の知人の一人が言った。 この山崎さんは多分理系の寺子屋に通ってたね。
話の質がそんな感じ。


好戦的な自分の本能と闘おうとしている、 立派な心の女の子は冷眼向けて言う。



「だからオマエら
 ガキくせーんだヨ」



山崎さんは、 始めっから話しすんの面倒っちーんでもう良いっス、 と言った。

さっき買ったCD達を、 片っ端からフィルムを破きポータブルプレイヤーで聴いてたもう一人の知人は…


「てめェはたまに
 ババくせー
 ホントは72歳
 くらいなんだろ」


沖田さん、 女性にソレ言わない方が身の為だよ。 アンタはどっかに落とした“知性”を探して同業者(警察)の遺失物係を訪ねてみ。


…ぁー……
始まっちゃったョ……

神楽ちゃん達ー、
ここで暴れると
ミンチ肉にされて
捏(コ)ねられて、
ミートパテに
されちゃうよー……



「でもって
 ジュー焼かれて
 バンズにでも
 挟さまれてろーッ
 …じゃなくてオイ!!
 そーごぉぉッ
 アンタ今すぐ静かに
 しねーとゴリと
 ヒジーにチクッぞ!」



山崎さんが同僚を叱って席に座らせた。 煩い僕ら4人に、 フロアスタッフはもう¥0の笑顔もくれない…








ターミナル・ショッピングセンター内のデカいCD屋の J-POPブースへ、 お通ちゃんのリミックス版を予約しに行ったら、 遠目にも目立つ制服の二人が居た。

いつもコイツら黒い重厚な公務仕様の格好にも関わらず、 動きも会話もその辺フツーに居る寺子屋帰りのノリで、 そのギャップがなんだかその儘この江戸のメチャクチャっぷり…


 ボーダーランドの
 混沌(カオス)の深さ


…そんなもンに、 僕には思えてしまう。



こないだみたく接触を避けたって良かったんだけど、 いつもこっちが逃げてるみたくてソレもなんだかな。 あっちが気付いたときゃ、 軽い上っ面な挨拶でも交わしとこ……始めは、 そんなつもりだった。







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