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□愚者の楽園へ 10-12
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愚者の楽園へ 10


 |ホワイト・ライア|06|
 :white lier

 

  [teller]
  ⇒ SHINPACHI















銀さんは



貧窮生活を救うべく僕らが真選組から情報回して貰った事や、 賞金を担保に金銭貸借契約した事とかについて全く怒んなかった。


ただ

ソレを黙っていた事にだけ、 すっげー痛ぇシッペ一回ずつ。 僕と神楽ちゃんに。

プラス

“銀さんが爽快感を得る為に必要アイテムだった大切な本”を持ち出した罰で僕がデコピン、 同僚はソレを態と閲覧不可にしちまった罪で、 ツムジに拳固2発喰らった。

彼女は密告者について、 『アイツは幕府の犬じゃなくて、 大人社会の座敷犬だ、 やっぱポメだ』と頬をぶー膨らまして怒った。


犬種に疎い銀さんに、 近所の若夫婦が通常よか毛色が薄くてトィプードルみたく耳の回りを丸〜くティディカットしたのを飼ってて、 たまに夫婦喧嘩して奥さんが実家に帰っちゃう時に万屋で預かる、 あれがポメラニアンだと教えたら、 ぎゃははは、 あの毛玉犬“ぽめ”か!? と大喜びした。










「何で俺に
 言わねーのよ
 オマエらはよー…

 ………アレか
 俺とプラチナ・
 メタリックの
 小粒達との仲を
 引き裂こうと
 してたんだろ
 甘ぇんだョ…ったく
 
 …お小遣い下さい」






違う理由だったケド
そうゆう事にした
つまりパチンコで擦っちゃうからだって




銀さんが
総ちゃん達の事を
嫌ってるから
言えなかったんだよ

なんて、 隠し事の理由に成るか解んなかったし。 ソレより何より僕は、 凄く嫌な事に気が付いちまったから……


最寄りの交番にミイラを引き渡して、 賞金首の確認を待ちながら、 銀さんが見覚えある缶を開けて小さい葉巻を1本取り、 安価そうなライターで火を付けた。 嫌ん成る程自然な、 慣れた手付きだった。 何だ…この人煙草吸う人だったんだ、 知んなかった。



その四角い缶を見た時
ソレに気が付いた




それ迄
理由にしていた
色々は


本当じゃない
……って事


モッサい忠告した
あの時も



 『 喧嘩に
   成りそう
   だから… 』


…って
今思えば
何だぁ? ソレ…




本当の理由は

ずーっと
心ん中の違う所に
引っ掛かってて
どっかでその事を
解ってた気がする



ウチの社長が
気持ちの便秘な
みたいに






神楽ちゃんは飲み物買いに行ってて、 交番の外に設置されたベンチに僕と横並びで座ってたシャチョーは、 おっせーな…とか言ってふぅーっと大きく息を吐く。 嗅いだ事の有る香料の煙が揺らぐ。






 沖田に貰ったの?


「ぃーや……
 ………せしめた」


 セビったんだ?



片眉上げて見せただけでその質問には答えなかった。


「……
 オマエらも
 影で吸ったり
 してんの?」


 吸ったけど
 ……1回しか無い



銀さんは特徴有る赤茶の四角い缶を僕の方にチラっと見せて、 無言で、 コレ? っと伺う視線を向ける。



 うん
 ソレ
 ……でも

 そんとき
 神楽っちゃんが
 吸いたがって
 吸いたがって

 超うっさかったから

 次から
 吸わない
 あの人

 俺たちの前じゃ





 「……ふぅーん…」







最近





イマイチだった
ウチの社長の機嫌が



少─────しだけ
良さそうに見えて





なんか







ムカついた






少───────
─────しだけ
















 -end-
 FOOL'S PARADISE
 10‖white lier


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