⊂stories⊃
□愚者の楽園へ 13-15
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愚者の楽園へ 14
|トランペリ・シィナ|18|
:trumpery sinner
[teller]
⇒ HIJIKATA
俺ぁ
言えっけど
「だから
危ねーヤツ扱い
されてるだろィ」
ヒーローが
聞いたら泣くな
「……泣くかァ?」
やぱ泣かねーな
大爆笑
ぁ 其処バレちった?
てな
「水戸イェロー
ゲィトも」
爆笑だろ
そう言う俺らの
品の無ぇ
引き笑いの後、
餓鬼は笑う。
口角だけ。
「 ラキーだよな 」
「 正義の味方
になりゃ 」
闘争本能も
勝利の快感も
暴力の愉楽も
斬り勝つ悦楽も
「 何でも
許されちまう
んだぜィ 」
策略も
人殺しも
「 正義のためなら 」
「 ……ラキィ… 」
泡(アブク)の影が肌に映る変に整った顔は、 熱で爛れたセルロイドの人形みてぇ。 気味悪ぃ。
「 仕方ねぇよなァ
愉しいもンは
愉しいンだから
なァ? 土方さん 」
正義の名の下の
ヤバいゲームは
「 上がるよな
勝ち戦は 」
そりゃ
サイッコー
にね
皆 免罪符が
欲しいだけ
着色された大き過ぎる眼球を俺に向け、 小せぇ人間の子供に擬態した天人の様な生物が、 透る周波の声を出す。 背筋が氷る。
「この家にはな
おばけが
すみついててな
人間は中に
入れねェよ」
門の中へ踏み入ろうとする俺の腕にスゥーと玩具の手が伸び袖の上からグ…ッと掴む。 食い込む人形の指は強ぇ大人の力だった。
「生きては出て
これねェよ」
外見のあどけなさも
「 きえろ 」
全て薄気味悪かった。
糞…ヒトじゃ無かったか…近藤達はどうなった…中はコイツの仲間がウロ付いてやがんのか…喰われちまってねぇだろうな…
考えてたら
生物が言いやがった。
「客人
うでだめしに
来たんだろィ
やめとけ
見つかんねェうち
帰ェれ はやく」
ぁ゙
ぁあ
そーゆー意味…
ったく
脅かしやがって
殴り込みじゃねっつの
力が糞強ぇダケの只の童だった。 子供は単純だ。 庇護する奴にはコロッと懐く。 コイツは俺が、 家迄送ってやると言ったんで、 情を返して来やがったんだろう。
ぁーぁ…
俺 此処んチの
親類みてぇなもン
オィ 次代目の近藤
中に居っか?
「なんでィ
身内かィ ぉ
もしや兄さん
ワンダさんチの
伝説のやんきぃ
だろィ そだろィ
ぃゃよかったなァ
生きてたのかィ」
……椀田?
否 違ぇな
…誰ソレ?
ぁーぁ……
誰だよ。 連れて来ちまったのは。 馬鹿じゃねぇか折角、 こんな真当に育ってる子供なのに。
此処で真人間に
育つ訳が無ぇだろう
そう思った。
な、
やっぱ
イカれた
駄目人間に
成っただろ。
-end-
FOOL'S PARADISE
14‖trumpery
sinner
¨