⊂day-to-day⊃

□ Tokyo Go-Go 1
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  No.224…2






女のコ請け◎『DOGTOWN』とは対照的に、 出てくる人達の、 口の開き方から、 体育の授業中のボール裁き、 座った時の足の閉じ方……と細かいディティールまで兎に角カッコ悪い、 そのリアルだめだめ具合に思いっきりはまったのが


 『 バス男 』


観た後スッキリ。 心スッキリ。 オクラホマの田舎の男子高校生、 ぼけーっとした風貌の主人公。 オクラホマだよ、 隣の家はどこ? ってくらい周り一面農地しかないのどかな町で、 彼の交通手段はスクールバス。 彼は車ナシ生活を特に気にしてない。 彼はどーでもいい会話中には淡々と適当言いまくる。 「夏休みには従兄弟とグリズリィを撃ちに行って何頭倒した」とかさ。 「都会に住んでるモデルの彼女は今忙しい」とかさ…かなり適当。 会話による他者とのコミュニケーションに力は入れない性質みたいだ。

彼は自分には取り柄があんまり無いと思ってる。 だからと言って自暴自棄になる訳でもなく、 他人と自分を比較してどーこーとか思い悩んだりもせず、 世間に媚びる姿勢なんかもなく、 いつもいつも淡々と冷静に…………カッコ悪い。 でも観ているうちに、 彼の周りにいる“特別みんなから好かれる必要もない”ってスタンスの人間達が、 段々段々格好良く見えて来るんだ。 彼等を見下す、 調子が良いのが美徳なのかと思うほど、 ただ他人の目ばかり気にしてるだけの人達よりも。

別に命の危機でもなく、 普通に暮らしていればたまには出くわすだろう、 そんな程度の土壇場の状況で、 人は普通に誰かを調子良く見捨てたり裏切ったりする。 でも仲の良い友達のため、 彼は逃げなかった。 賞賛を得たいとも思ってなかった。






 





↑の『バス男』もそうなんだけど、 始まって最初のスタッフクレジットの入り方が物凄ーくセンスい〜カッコい〜…って映画あるよね。 そこ観ただけで「なんかアタリ」って予感がする時ない? これもそう。 フルーツ・チャン監督の


 『ハリウッド☆
  ホンコン』


香港、 トタン屋根の続くスラム街の、 迷路みたいに細く入り組む猥雑な路地から仰ぐ亜熱帯の蒼空に、 聳える超超超超高層マンション群『ハリウッド』。 最新近代建築の四角い5本の塔の根元に広がる都市整備区域には、 立ち退き要請の看板が目立つ。 その古い赤錆色の、 生活臭残るスラムの映像は、 登場人物や、 彼等の部屋のオブジェ、 挿入音楽の効果で、 キュートでポップで、 甘く、 オシャレだ。 日常生活に息衝く甘くキッチュなセンスはとても現実的だ。 その街で、 ゆっくりと起きる事件の予兆やエピソードのグロさが、 そのキュートさと反比例してより気味悪く……でもどこかオシャレで……でももう生理的に怖い気色い……

観終えた感想は“タダほど高い物はない”だった。





















Sep.22th.'07


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