04/30の日記

16:27
205
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⊂day-to-day⊃
No.205
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都市伝説と
PSI現象の
狭間に
1ケの
話が在る
[25]

breather 9





Breather
・ 集スト的 小咄 ・





[ 脳 -1- ]




「自分の欲求が
 何でも叶う機械が
 あったとして…」


思考解読器をそう表現し憂いた人がいた。 自分の欲求を抑止できない、 自制の効かない人物が、 もしもそれを手にし、 自分の欲望のままに乱用できたなら。 それは完全犯罪が簡単に行える状態をプレゼントしてしまったのと同じだ。 そのチャンスを与えられた彼の欲求はとても原始的で、 性欲であったり、 名誉欲であったり、 気になる人物の洗い浚いを知りたいと言うストーカー的な欲望や、 他人への虐待願望ばかりだったなら…。

その機械の使用者に他人を思いやる心が形成されてなく、 平和を願う欲求よりも他人を謀略する事に熱心だったとしたら、 世界は、 間違いなく破滅に向かう。 容易く推測できる未来は、 悲惨だ。 修復を望むのなら、 市民生活を送る場での、 思考解読器を含めた最新兵器の使用を1秒でも早く規制すべきだ。 現在その機器類を乱用している者は、 その乱用している地の国民を、 あまり馬鹿にしない方が良い。 それさえ解らないような愚かな国だと、 タカを括るな。





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[ 脳 -2- ]



有り得るか、 有り得ないか、 で言えば『技術的には充分有り得る』、 けれども感情論で考えると、 そのような欲まみれの犯罪を、 そのような残酷な手段で行う人間など、 果たしているのだろうか。 そんな犯罪だった。 けれどそれは行われた。 当たり前の“人の心”を持った人間の考えでは、 予測不可能な犯罪だったのだろう。 その“ヒト”としての垣根を楽々飛び越えたまま、 こちら側に戻って来ない人間の心には、 残念ながら良心はない。 多くの人は戻って来て、 これを食い止めようと行動を始めた。

戻って来ない人間が集まり、 正義に背進し暴走を始めた。 良心のない人々を選別し増殖させることが、 そのコミューンには有益なのだろうか。 無益なだけでなく、 害しか生まない。

人の心を無理矢理こじ開け、 人の“感じたまま”を盗んでおきながら、 良心のない人間には、 被害者の苦痛を汲み取るどころか、 被害者の絶望感を喜ぶ気持ちしか生まれなかった。






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[ 脳 -3- ]




脳の死がその人物の死である、 と言う考え方が在る。 植物状態で、 脳の機能が停止した状態は、 その人間の肺や心臓が機能していても死んでいるのと同様だと言う考えだ。 これは、 脳こそその人間のキャラクターそのもので在り、 脳こそがその人間だと言うことだ。 例えば脳が移植できたなら、 上っ面の外見は全く他人の人体でも、 ロボットでも、 脳が『Aさん』のものならば、 それは姿形は別物だが『Aさん』であると言うことだ。 脳こそが『Aさん』なのだ。 それほどに、 その人間が脳で考える発想や感情は大切な物だ。 見た目では解らずとも、 誰かに脳を電磁波・疎密派等で攻撃されれば、 その人のキャラクターは大きなダメージを負う。


思考解読器を使用すれば考えや五感を全くの他人が共有できる。 誰かの脳に寄生し、 その宿り主がする経験を、 寄生体が疑似体験できる。

脳内を無理矢理他人に見られるとは、 どう言ったものなのだろうか。 誰かが他人の思考を盗み取ったとしても、 その人と同じ感情や性格を持つ人間には成り様がない。 経験を共有しても、 当人達が持つ性格面の個性、 それぞれのキャラクターは別人のままだ。 思考解読を宿り主の承諾もなく行えば、 羞恥の限界を超える全ての体験が、 盗聴犯に盗まれる事になる。 当人でもなく、 その場で実際に一緒に同じ体験しているのでもない、 全くの第三者である思考盗聴犯に勝手に全てを覗かれる事になる。 脳こそその人そのものであり、 犯し難い聖域である事を実感できない人間が、 思考解読器を乱用する側に回るとは空恐ろしい話だ。



思考解読の技術は優れたもので、 その考案者は正当に評価されるべきだろう。 もし自分の身内が、 不幸にも植物人間になってしまったら、 その思考解読器で身内の脳内を見せてもらいたい。 口の開けない親族から、 人口呼吸器等の延命装置を外す前に。 魂が帰って来ると言う、 反魂丹にでも縋る気持ちで。

思考解読器の開発者は、 そう言った使われ方をして欲しかったのではないだろうか。









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反魂丹

…死んだ人の魂を呼び
起こす程の効き目があ
ると言われた丸薬。 ま
た『反魂香』は炊くと
死んだ人の姿が煙の中
に現れると言われるお
香の事。



Apr.17th.'07


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