【NARUTO/鋼 】
□【 地 位 】 《ロイ単独思考》
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「・・・・・イ、・・ロイ―! お父様とお兄様がお戻りよ?降りてらっしゃい―?」
その声に重い体を持ち上げると、階段をのろのろと降りてゆく。
丁度、入ってきた父とはちあわすが、降りてきた息子の顔も見ようとはしない父親に特に期待はしていなかったものの、やはりどこか気落ちする。
「・・・よう、ヘンリージュニア!元気にしていたか?」
大きな荷物を持って、父の後ろから遅れて入ってきた兄はなんとなく勇ましい顔つきになっていたが、以前と変わらない優しい笑顔がロイの目に飛び込んできた。
「まだ野球続けてるか?」
優しい笑顔の兄、リチャード・マスタングは頷くロイの頭をポンッと軽く叩くと、
「後でキャッチボール、やろうな」
そう優しく言うと自室へ行く為、階段を上がっていった。
暖かい、だが胸の締め付けられる思いになったロイは階段を下りると、母が入れたカモミールティーの香りが漂っていた。
その優しい香りとは縁の無さそうな声がダイニングルームに入る前から耳に入り、再びロイの足取りを重くさせた。
どうやら、父ガルシアは仕事の電話をしているようだった。
暫く中に入れずそのやり取りを立ち見していると紅茶を運ぶ母と目が合い、優しく微笑まれた。
「・・・あなた、休暇中なんだからお仕事の電話もお休みになったら?」
そう言って紅茶を置いたテーブルには、ロイの大好きな母手作りのチェリーパイが並べてあった。
ロイは母の後に続き、テーブルにやってくるが未だに電話に向かい大きな声を出している父親に軽くため息を吐いた。