創作小説

□君の為に
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誰のため


貴方は頑張るの


問うたら


貴方は笑ったわ


「そんなの


君の為だよ」









君の為に






春。入学式。それらを終え、ようやく新しい学校に馴染んできた5月半ば。
咲崎蓮霞(サキザキレンカ)の通う雨宮学園は第一回目の定期テストを終えて晴れやかに賑わっていた。
もちろんそれは蓮霞のクラスにも言えることで、それでなくともハイテンションなこのクラスはいつも以上に盛り上がる。
まだ入学して一ヶ月とちょっとだと言うのにこのクラスの団結力は半端なものじゃなく、「盛り上がる」際は皆で一緒にが通例となっていた。
「みんなぁーーー!用意は良いかぁーい!?」
『オッケーでぇーす!』
「じゃあ、行くぜぇ!!!」
進行役二人の掛け声に合わせてクラス一同が沸き立った。それは「ウォォォォォ!」と雄たけびをあげるほどに。
「王様だぁーれだっ!?」
無論それはロングホームルームを潰して行われる王様ゲームの成れの果てだ。
「じゃあ、三番と二十五番がチュウな!」
盛り上がりは最高潮。こう言う下世話な命令が一番多く出るときだ。
蓮霞は「はぁ・・・・」と大きなため息をついた。
すると、彼女の親友である結町千夜が蓮霞の顔を覗き込む。
「どうしたぁ?」
「はい。」
来いてくる千夜に蓮霞は応えの代わりに番号の書かれた割り箸を渡した。そこには、三番と表示されている。
千夜は一瞬哀れむような顔をしただけですぐににやけた表情になって「濃厚なのしてあげなよぉ」とからかった。
「みんなぁ!蓮霞が三番だよぉ!!!」
そして、周りにチクりやがった。
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