創作小説

□雨から始まる
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それは


二人を繋ぐ


唯一の


架け橋






雨から始まる






梅雨。
もう七月も半ばに迫ってきていると言うのに雨はやむ事をしらない。鬱々とした天気に嫌気が差しながらも生徒会執行部副会長・吉澤由麻(ヨシザワユマ)はひたすら机に向かう。
今年の文化祭は全て会長ではなく自分に一任されているため、仕事が多い。
これも会長である親友の仕事を減らすためなのだが、効率の良さにかける自分には到底難しいものだった。一年生の横嶋や咲崎なども手伝ってくれるのだが、勝手のわからない新入生では猫の手にも及ばない。この二人は新入生の中でも有能な方で自分たちの後を任せても大丈夫だと言う自信はあるのだが、そのほかなどは持っての他だ。
仕事は一度で覚えない。ミスは連発する。連絡を怠って重要な会議に出そびれた事もあった。
横嶋と咲崎以外は皆雑務なのだが、雑務と言っても欠かせない重要なポディション。ちゃんと働いてもらいたいものだ。
「ユマ先輩、これ文化祭会計決算書です。あと…」
そう思っていたとき、咲崎と横嶋が現れた。この二人は妙な組み合わせだと心底思う。
「各クラス、部活などの模擬店出店等を纏めた書類です。後、パンフレット作成委員から、実行委員監察の言葉をと預かってきました。」
「了解。あと目通して置くから。あと、咲崎。黒木呼んできてくれないか?裏パスって言えばわかるから。」
その言葉に首をかしげながら咲崎はカワイらしく頷いた。
黒木砂良は生徒会の会計取締役だ。そのため、裏生徒会費と呼ばれる怪しい費用を管理している。それはある筋からの収入源だと黒い笑みを浮かべて彼女は言っていたが、その笑顔を思い出すだけでも背筋を寒いものが通る。
「はぁ。黒木が終わったら、例の案件進めるだけだな。」
文化祭には俺しか知らないサプライズが存在するのだ。
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