ものがたり
□第1話
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眩しい世界の中にあるのは、
真っ黒な世界。
目を細めるような白い視界の中で、ただただ時の流れに身を任せてるだけ。
――私は、儚くていいかな。
儚い命が、いい。
その代わり、
大切に、大切に、生きてくから。
『―――それじゃ、行こうか』
「あぁ、行ってこい」
『随分と素っ気ない。』
「知るか。お前が決めたことだろう」
『まぁ、そうだけど、』
「高みの見物でもさせてもらうさ」
『ギャグ?』
「どこがだ」
『――じゃあね』
「あぁ」
それが、例えば、間違っている選択だったとしても、私は、儚くありたい。
その脆さに、きっと…生きる美しさがあるんだろうと思うから。
“あれ!?梓は!?”
「遅かったな」
“…行っちゃったのか!?”
「お前はどうせ行かねぇだろうが
見送りとかでもしたかったのか」
“いや、違うけど…”
「お前には分からねぇよ」
“観世もだろ。僕も…だけど”
この世界は眩しいほどに明るくて…真っ暗だ。
私は、例え狭くても、明るい道へ行くよ。