Zone A
□episode54
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「ふーん?」
遠く、離れた場所に、少年のような姿。
髪は長く、素足のようにも見える。
背中まで伸びる髪が、風に靡いている。
少年は肩を揺らして、笑う。
「随分、長い時間帰ってたんだねぇ」
「エンヴィー、」
「何だよ?」
「早く行きましょ」
「いやいや、もう少しだ」
「何が?」
「あと少しで掴める」
エンヴィーの後ろに急に現れた女性は、腕を組み、呆れたように大きな溜め息をついた。
「全く――」
「良いだろ、別に。」
「……そうね。私には関係無い任務だったわ」
変わらず楽しそうな口調のエンヴィーに、女性は姿を消した。
何を言っても無駄だろう。
やるべき事さえやってくれれば問題は無い。
「もう少しだ。だろ?」
心底楽しそうに、声をあげて笑う。
そして、エンヴィーも姿を消した。