□わがままな手
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私の彼は本当に格好良い。
眼鏡が似合うのがなんといっても格好良い。
制服もテニスウェアも、私服も全部格好良い。でもパジャマは可愛いのがギャップで、そこがまた好き。


好きすぎて
好き過ぎて
いきすぎてしまった私は、いつも彼の顔を見られるように携帯の待ち受けにしている。
手塚君には内緒。
きっと「いつ撮ったんだ」とか「今すぐ消せ」とか言われるから。


手塚くんは恥ずかしがり屋だから、一緒に帰ったりできないのが本当に残念。
でもテニス部の部長だし、生徒会としてもほかの生徒のお手本にならなきゃだしね。
不順異性交遊と言われてはきっとバツが悪いんだよね。


携帯を見れば手塚くん、盗聴器を耳に当てれば手塚君の声。
いまはこの程度ですごくすごく幸せ。
でも本音を言うと。
こんな私に気付いて、いつか手塚君が告白してくれないかな、なんて。

手塚君のために色々してきたこの手は、そんな我儘な望みを孕んでる。












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