拍手で使用した小説
□やっぱりあなたと! Lside
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たまには一緒にご飯を食べよう、と竜崎を誘った。
にべもなく断られた。
「要りません。ご飯よりお菓子がいいんです。それにゆっくり食べる時間もありません。」
ああそうかいそうかい。
こちらに顔も向けずに、仮にも付き合ってる女に言う言葉がそれなのかい。
内面夜叉顔面菩薩。
日本の女性は心が広いってところを見せてやろうと意気込んだ。
「分かった。じゃあ誰かと食べてくる。」
そう言ってクルッと踵を返す。私デキる女っぽい!カッコいい!今までの私なら竜崎にしがみついて「たまには炭水化物取れよ!」と喚いてた。
けどね、うん。たまには大人らしくなれるのね私。
「待って下さい」
「なに?」
「ご飯食べます。持ってきて下さい。」
「ムリしなくていいよ?」
「気が変わったんです。」
…ああもうなんて可愛い人なんだ。
誰かと食べるって言った瞬間にそれなんて!
「ん。分かった。待ってて。」
そう言って、彼女は部屋を出て行った。
自分に正直がモットーの自分ですら、あからさますぎたと自嘲する。
たかが女一人のことに、冷静になれないとは。
恥ずかしさよりも、なんだか小気味良い嬉しさが勝った。
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