黒と白はね、対になっているようで対になんかなってないんだ。
人の目の錯覚が対に見せているだけで。
黒
と
白
子供が騒ぐ。ここは公園の一角にあるベンチ。
しかも今は寒い冬とはいえ暖かい日差しの降り注ぐ昼間。
こんなに天気のいい日に遊ばないのはそんだとでも言うように子供達は駆け回った。
「いいなあ」
ブレートチルドレン・・呪われた子供達とは全く関係のない生活をしている「普通の子供達」。
それとは逆に生まれながらに呪われている「ヤイバの子供達(呪われた子供達)」。
ブレートチルドレンの一部の人間はそんな「普通」の生活にあこがれる。
・・「普通」であると刺激的な生活を求めてしまう人間とは一体なになのだろう。
賑わう場所にいても警戒を解けないで緊張ばかりしているブレチル達は、それでも引きこもることはなく外にでる。
・・まあ一般人にはブレートチルドレンの事など知らされていないのである意味では引きこもるより外にいる方が一般人らしく見えるのかも知れないが。
空は蒼く
夢は煌めいて
追いかけていた面影を見た気がした。
空を仰ぐ。
そこには自分の好きな人の目の色と似た蒼い空。
寧ろ風が雲を追い払い、藍色に近い輝きを持っている。
手を伸ばせば夢をつかめそうな。
それでもそうする事の出来ない『夢』は空で輝いているからこそ美しくいられるのだろう。
「もしも願いが叶うなら・・」
この空を飛んで好きな人の近くに行けたら良かったのに。
飛んで、跳んで、翔んで。
直ぐ傍にまで行けたら幸せ。
直ぐ近くで姿を見る喜び。
そう言う物が、あったのに。
本当に対になっているのなら黒と白は似た色だったらいけないんだ。
似た色だったら「対」とは言えないだろう?
二つは対になっている様に見せかけた似たもの同士。
似て非なる物で非と言うよりは近く似ている物。黒と白。
どちらも無機質な形の色。
茶系の短い髪が揺れた。
まるで彼女を連れて行くかのように。
・・ふわふわと。
だが生きている人を本当に風が連れて行くわけはなく、ただ彼女が自分の意志で立ち上がって公園の外にでていっただけ。
椅子の上にはオレンジ色のマフラーが残されている。
公園の中にいた人は彼女が外にでていったことに気が付かない。
それもそうだ。
皆自分のことや自分の子供のことで手がいっぱいなのだから。
だから誰の目にも残らずに去っていく。
近くを木から離れた木の葉が舞った。
面影を残す空を見上げて
自分の小ささを確認して。
それでも
『夢』につぶされることの無いように。
その大きさを受け入れられるようになるように。
戻る tinker