モノ置き場

□sora
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空は高い。ヒトの手が触れることのないように。



高く飛びすぎたコトリが、悲しみに触れることのないように。







sora








「考えたコトがあるか?」


唐突に、亮子が口を開いた。

目の前には、最近何故か一緒に居ることの多くなった銀髪の青年が一人。

「何がだ?」

青年−アイズ=ラザフォードが聞き返した。

「空が高い理由だよ。青い色がいくら近くに見えても、触るコトなんてできないだろ?」

亮子が答えた。

「空が高い理由・・?」

アイズは、亮子が急に空を見上げてぼぉっとしていた理由が分かった。

それを考えていたのだ。

そしてしばらく沈黙が続く。









「理由・・・か。」

アイズが突然、つぶやくように云った。

「其れは・・・」

言おうとしたアイズに、亮子が一言言い放った。

「難しいことはナシだぞ」と。

「難しいのは、嫌いだ」

そしてまたしばらく時間がたった。










「神の領域に人が踏み込まぬように、と言うことか?」

アイズがつぶやくように言った。

「私も始めはそう思ったさ。・・だとしたら『神』の対になるモノはいったい何なんだ?」

「・・・さあな。悪魔とかか?」

「違うと思うよ。悪魔と対になるモノは天使だと思うから。・・・それに、」

「それに?」

「悪魔は一体どこに住んでるんだ?」

「・・・さぁな・・・」

「そんなことを考えてたら分かんなくなってたんだよ。なにが善でなにが悪か、なんてこと。それと『神』なんて野郎が本当に正しいか、なんてな。」

「?」

「それ以前に『神』なんて存在するのか、とな。」

「神・・?」

アイズが、いぶかしげに亮子を見た。しかし亮子はそんなことは気にもとめずに、先を続けた。

「清隆だよ。彼奴も始めはただの人間でしか無かったんだろ?」

「ああ、そういうことか。」

亮子の言っていることが分かったのか、アイズはフッと微笑った。

「そもそも俺達に救いなど存在するのか、だろ?」

アイズは亮子に聞いた。

「そうだよ。・・どうせあいつのシナリオには私らを救う、なんてモン入って無いんだろ?」

「・・・・・」

アイズは答えなかった。

かわりに、また少し微笑った。

そして、ボソっといった。

「さあな」

そしてまたどちらも話さない沈黙が続く。










開いていた窓から風が入った。

「リョウコ。紅茶でも飲むか?」

アイズが尋ねた。

「ん、ああ。 入れるの手伝おうか?」

「ああ」

カーテンが風で翻り、暖かな光が射し込んだ。

「まぶし・・・」

亮子が上を仰ぎながら部屋を出る。

そしてついさっきアイズが歩いていった方へと歩いていた。









あいつの事なんて大嫌いだったハズなのにな


___亮子の誰にも聞かれないつぶやきを1つ、のこしたまま。





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