ホテルに拉致られた亮子は、アイズに「部屋でまっていろ」と言われて鍵をわたされた。
もちろん、逃げるなと釘をさされて、だった。
「あーめんどい」
ぶつくさいいながら、亮子はアイズの部屋についた。
ガチャリ
鍵を開けた。
夜なので中は暗かったが、電気をつけずに窓辺によった。
しばらくすると、アイズが帰ってきた。
中に入り、電気が点いてないのを見ると、アイズは「何をしているんだ?」と亮子に聞いた。
「・・・星・・・」
「・・・?」
何のことかアイズが分からないで居ると、亮子が続けた。
「人工的な光はにがてなんだ・・・それよりも星が綺麗だぞ」
「ああ、確かにな」
アイズは何のことかやっと分かったというように、相づちを打った。
そしてアイズは窓の傍にいき、空をみあげた。
そのまま、二人はしばらく空を見上げていた。
ふと、亮子が口を開いた。
「こうして空を見上げていると、私らがとても小さく見えてくるよ・・・」
小さい声だった。
「迷子になってる・・・この星のどこかで・・・」
独り言のように云う。ここには亮子しか居ないような感じで。
「なら・・・」
今度は、アイズが口を開いた。
「まよっているのならば、おまえの手を俺が引いていてやろうか?」
「・・なっ・・・」
亮子の顔が、少し紅くなった。
亮子は、恥ずかしくなって横を向いたが、ここは暗がりなのでアイズには見えていないだろう、と亮子は勝手に思っていた。
だが、アイズにはちゃんと見えていた。
「いいだろう、リョウコ」
「・・・ああ・・・」
亮子は小さな声で云った。
「たのむぞ、ラザフォード」
そう云った亮子の顔は、少しだけ嬉しそうだった。
迷子ニナッテル。
だけど二人でなら、どんなに暗い希望−ミチ−でも、ただの幻想−ユメ−だったとしても、きっと見失うことはないだろうから。
時間はもうないかもしれないけれど、それでも今は今を精一杯生きようとおもった。戻る tinker