似ているということ。
それは周りに言われたアイズと歩と清隆のこと。
相似結果論
「どうせ俺は兄貴の物まねだよ」
少年は呟く。
「モノマネはオリジナルには勝てない」
ただ呟きが流れる。
「オリジナルを超えるにはオリジナルでしか出来ない」
それでも自分はオリジナルにはなれない。
なれるのは、コピーという名のモノマネ人形だけ。
なりたいとは思わなかった。
兄をすごいとは思っていたけれど、それでも自分が同じものになりたいとは思わなかった。
同質のものは同じ世界に二つは要らないから。
それなのに、歩はアイズにも似ているという。
「あがないのときはちゃんとそれを受けてやる」
そう言う覚悟をもてる彼と。
「心配していないような口調で心配している」のだと。
それは清隆も同じことをいうだろう。
清隆のモノマネ人形と、モノマネ人形に似ているという彼。
似通った点があり、それで居て違う個体たち。
いったいどうなっているのかと思う。
世界が色々なところで狂いだす。
否、狂いだすというのには語弊があるかもしれない。
ブレートチルドレンが生み出されてからではなくて、ブレートチルドレンが生み出される前に既に狂っていたのだろうから。
狂いだすのは大人が先か子供が先か。
そして狂ったのは世界に順応したものか世界に順応できなかったものか。
そんなことは、知らない。
知っても仕方が無いから知ろうともしないし、そんなこと考えもしないから誰も考えない。
同じようで違う言葉の繰り返し。
同じようで違う者達の繰り返す日常。
人間なんて誰もが似ていて違うものだというのに。
それでもオリジナルとコピーと・・コピーの彼に似ているという彼。
全員が踊らされて舞う。
運命という名の操り糸に絡まれて、そしてクルクルと踊らされる。
くるくると。
クルクルと。
狂々と。
最果てまでに、何度の挫折と希望があるだろう。
そんな思いを胸に運命は終結の方へ向かう。
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