モノ置き場
□いいわけ
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時間がないから、なんてそんなのは大人の言い訳。
いいわけ
例えば、そう。
社会にでた「大人」の人はこういうんだ。
「時間がないから好きなことが出来ない」
「時間だ無いから君に会えない」
「どうか時間があれば」
「せめて時間があれば」
「やりたいことが出来るのに」
と。
だけど本当にそうなんだろうか。
読んでいた本を閉じる。
暖かな光の当たる公園で、カノンはさっきまで読んでいた本を脇に置いた。
「本を読んでいた」と云ったが、それは本当は確かではない。
本に書かれていた無いように対して疑問を持ち、その本を片手に考えていたというのが真相だ。
置いた本の隣には本を読み始める前に買った缶コーヒー。
そしてその上には、さっきまであったはずの木の陰は無く、代わりに燦々と光を放つ太陽が見えた。
「本当に大人になったら時間が無くなるのかな」
誰もいない公園でそっと呟く。
今は試験期間中で、普通の生徒ならば試験勉強をしているはず。
そして小さすぎる公園は子供にさえも見捨てられたまま通り道となっていた。
だから此処は本を読むにはちょうど良い。
・・最近の人は本どころか漫画も読まなくなってきている人さえいる、と言うことでそういう利用の仕方でも公園は許してくれるだろう。
「時間なんて作ればいいじゃない・・・」
意識していたわけではない言葉が口の端から漏れる。
誰にアイズ血をも止めるでもない、無意識下におく独り言。
だからそれに対して答えが返ってくるとも思わなかった。
「そんなに簡単に作れるんですかね?」
「作ろうと思えば作れるよ」
答えてからはっと顔を上げる。
「君、何時の間に・・?」
驚きをそのまま顔に表す。
さっきまで考えていたことが吹っ飛んでしまうぐらいに驚いた。
「さあ、何時からでしょう」
疑問を疑問で返してくる。
「ご想像にお任せしますね♪」