モノ置き場

□いいわけ
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「ところで」

ひとしきり言い終わった後、ひよのが唐突に話題を戻す。

「カノンさんはさっき何を考えていたんですか?」

右手にシャープペンシル、左手にメモ帳を構えている。

「この本のことだよ♪」

笑顔返し。自分の心を読ませなくするのはカノンもひよのもなかなかのもので。

ふたりともにっこり笑って腹の中を探り合う。

カノンはひよのがメモをした後何をしようとするかを。

ひよのはカノンの言葉の真意を。

永遠のように感じられる時間は、現実では数分。

テスト期間中だというのに買い物にでていたらしい歩が通りかかって、「何してるんだ?」の一言でその硬直状態は解けた。

「まあいいです。今日はテスト勉強もしなければいけませんから今度あったときに聞きましょう」

言い放って、メモ帳とシャープペンシルを鞄の中にしまう。

そういえばひよのの服は制服のままで、図書館ででも勉強していたようだ。

歩は何がなんだか解らないと云う顔をして、「まあいいか」と呟いて手を振る。

またな、と。

「ではカノンさん、私も失礼しますね」

ひよのはそれにくっついていく。
くっついて何時と入ってもきっと帰り道は違うから出入り口までだろうけれど。

「僕もそろそろ帰ろうかな」

本をコーヒーの缶を持つ。

中身を飲み干して塵籠の中に入れた。




君は僕の気持ちなんて気が付かないよね。

くす、と笑って。

空に向かって伸びた。







時間がないんじゃなくて、子供のように積極的に時間を作らないんだ。

時間を作って好きなこととやるべき事を両立させることが出来る人が、本当の大人。


空に向けて云って歩き出した。








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