パロ部屋

□はっぴーたいむ
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阿部がだるそうに欠伸を一つ、机に突っ伏した。
俺はそれを盗み見て、小さく微笑んだ。

【はっぴーたむ】

好きな人と同じクラスで隣の席。
これ以上嬉しい事はない。
それに運命感じちゃってる。
「阿部、さっき寝てたでしょ?」
休み時間になって、もそもそと起きだした阿部にそう声を掛けた。
阿部は寝起きの不機嫌そうな顔のまま、う゛ー、だのあ゛ー、だの呻いた。
「だってねみいんだもん」
阿部のよく焼けた頬に机の跡が付いてるのが可愛くて、俺は笑ってしまった。
「何だよ」
笑われたのが気に食わなかったのか、阿部の眉間に皺が寄る。
「跡、付いてるよ」
俺が阿部の右頬を指さすと、そこを何度も何度も手の平で擦っていた。
「あ」
「ん?」
阿部が擦っていた手を止め、突然声を上げて俺の頬を指した。
「お前も跡付いてる」
「うっそ」
前の授業眠いの我慢して起きてたはずなのに…いつの間に!
ぱっと阿部が指さした右頬を押さえると、阿部はにやにやしたいやらしい笑みを
浮かべた。
「うっそ〜」
騙された!!
かーっと顔に血が上るのが分かった。
「騙したな!」
阿部はまだ笑みを浮かべ続けている。
俺は何だか悔しくなって、阿部の椅子を蹴ってやった。
「らんぼーう」
余裕の笑みで見返す阿部に「どーせ乱暴ですよ」と言ってやった。
負け惜しみに顔まで逸らしてやった。
「黙ってりゃ綺麗な顔してんのに」

(!!)

心臓が一拍飛んだ。
綺麗って綺麗って綺麗って〜〜〜!?
落ち着け俺!
顔が熱くなって、頭ん中真っ白で…。
言葉が出なくて、口はぱくぱく開閉するだけ。
「っま、黙って微笑んでる栄口の方がよっぽど気持ち悪いけど」
なんて憎たらしく言う阿部の横顔に一発お見舞い。
「悪かったな、暴力じゃないと俺じゃないんで」
阿部は俺が殴った左頬を押さえて「お〜ま〜え〜なぁ!」と怒鳴ったが、残念な
がらタイムアウト。
チャイムがその声を掻き消した。
「あとで覚えてろ」
なんて安っぽい台詞を吐いて、阿部は授業に集中し始めた。
俺は一回阿部の不機嫌そうな横顔を盗み見た。
どうせ、この時間も阿部は耐えられない睡魔に負け、居眠りするだろう。
起きれば機嫌は元通り。
次の休み時間何話そうかな、と先生の話半分に考えていた。

end.










中学生
同じクラス
捏造
乙女な栄口
ガキな阿部
こんな中坊の純愛だ い す き だ


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