はるかぐお題
□先輩と後輩
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部活終了後の筋トレを終え、加具山と榛名はさっさと部室へ引き上げた。
スイッチに手を掛けると、真っ暗だった室内が一瞬で光に包まれる。あまりの明るさに加具山は少しくらっとした。
加具山は汗で濡れたアンダーを脱ぎ捨て、シャツに腕を通す。
早く家へ帰って寝たいという欲望を遂行するため、さっさと着替えていたが、熱い視線を感じはっと動きを止める。
「何だよ」
視線を寄越すのは、にやにやいやらしい笑みを浮かべている榛名だった。
まあ、部室には二人しかいないので分かりきっていることだが。
「いや」
榛名はすっと立ち上がりボタンを留めている加具山の隣に並んだ。
「ひゃ」
不意に臍上辺りを触れられ、加具山は変な声を上げてしまう。
「何すんだよ!?」
「いや、誘っているのかと…」
何でもないように言う榛名の手を思いっきり叩き落とし、急いでボタンをきっちり下まで留めた。
加具山は万年発情期みたいなこの男の近くで無防備に肌を晒すのは危険だと改めて思った。
「さっさと帰るぞ」
ネクタイを器用に結びエナメルバッグを担ぎ榛名を振り返ると、拗ねたような顔とぶつかった。
「ひどいっす」
「何が」
「俺と加具山さんは恋人なのに、ちっとも甘くないっす」
だだっこみたいに言う榛名を少しだけ可愛いなと思ってしまった俺はかなり頭がやられていると思う。
「だって部活中は」
「分かってます。
先輩と後輩、でしょ?」
加具山が頷くのを見てから、榛名はにっこり笑って軽々と加具山の高校生球児にしては小柄な身体を抱き寄せた。
「!」
「今は部活中じゃないですもんね」
逃げ口上を先に言われ、加具山は口ごもってしまった。
「はー落ち着く」
加具山は大きな腕の中でもがく。
このまま榛名の好きにはさせたくない。年上のプライドというのだろうか。
「帰るぞ」
腕を突っ張って榛名の身体を離すと、緩んだ顔がすぐに不機嫌そうに変わった。
(ああ、もうコイツは…)
加具山は深い溜息を吐いてから榛名の頬に触れる。
甘やかすように優しく撫でると、榛名は目を細めそのくすぐったい感覚に身を委ねた。
まるで喉を鳴らしている猫みたいだと加具山は思った。
首にかかったネクタイを綺麗に結んでやると、榛名は嬉しそうにそのネクタイを指でいじっていた。
単純なヤツ、とつい笑顔を零してしまった加具山だった。
end.
アップだいぶ遅くなりました。
一応先輩後輩な榛加を書きたくてこうなりました。
やっぱ加具山さんのが先輩だからアドバイスとかするんだろ〜な〜っていう名元の妄想です!
最後はやっぱりラブラブな二人でいてほしかったので。
部活中は先輩後輩。それ以外はちゃんと恋人同士って線引きしてるのかなーと。加具山さんは真面目だしね☆←
1ページ目は一応きほん〜の感じを出したかった。マイナス思考な加具山さんw
それでわ。